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「第二期 第6回基調講演 女性専門職業人が判断を下す時の課題」
参議院議員・公認会計士・税理士
竹谷 とし子
藤沼塾レポート
GCA株式会社
代表取締役渡辺章博
M&Aには、デューディリジェンス(DD)が不可欠である。DDは監査ではないから、売り手が自主的にすべての情報を開示するわけではない。限られた時間の中で徹底的なマネジメントインタビューを行い、出ている数字が本当に正しいのかを見極めるわけだ。それは毎回、真剣勝負だった。もしも自分が誤ったら、クライアントはとんでもない案件を掴まされるかもしれないのだ。口幅ったいようだが、真剣勝負の場数を踏んだ結果、決算書類や契約書を見ながら話を聞いていると、おかしなところがバーッと浮き出てくるところまで、私のスキルは高まった。
そんな私から見て、日本の監査法人、会計事務所のDDは、残念ながら及第点のレベルにはない。例えばこれまで、自分の会社で2回M&Aを行ってきたが、DDを依頼した事務所が作成したレポートは、両方ともほとんど使い物にならな かった。そうなってしまう理由は、「ビジネスがわかっていない」の一言に尽きる。そのことが、クライアントの立場から丸見えなのである。ビジネスがわからなければ、本当の監査はできまい。
厳しいことを申し上げたが、私が会計士から経営者になって骨身にしみたことの一つが「監査のありがたさ」である。偉そうなことを言っていても、経営者には常に不安がつきまとう。「あの判断は間違っていなかったか」と、思い悩むことの連続なのである。そんな時に、会計監査の「財務諸表は健全です」という太鼓判が、どれほど勇気を与えてくれることか。
大前提は、サブスタンス・オーバー・フォームに裏打ちされ、ビジネスを理解した会計人の存在だ。そのサポートも得つつ、実態を反映した会計情報に則って経営をしていれば、今の東芝のような事態は起こらないはずだ。
GCA株式会社 代表取締役渡辺章博
わたなべ・あきひろ/1980年、中央大学商学部在学中に公認会計士第二次試験に合格。82年、ピ-トマーウィック(現KPMG)のニューヨーク事務所 に入所。94年の帰国後、KPMGコーポレートファイナンス代表に就任。2002年、現GCAを個人創業し、04年に法人化。06年、東証マザーズ上場。 12年、東証1部に市場変更。著書に『M&Aのグローバル実務 [第2版]』(中央経済社)など。