新天地から
日本郵船株式会社
企画グループ 海運政策チーム松本 恵理子
明治以降、貿易立国ニッポンを興し、支え続けてきた海運業。中でも日本郵船は、わが国のフラッグ・キャリア、すなわち国を代表する海運企業である。2005年、監査法人から同社に転職した松本恵理子氏は、昨年、念願かなって「非経理部門」への異動を果たした。一般企業なら経理部門——そんな公認会計士の「転職」の常識を覆した真意はどこにあったのか?そして、彼女の将来展望は?異色のキャリアに迫った。
松本氏が京都で学生生活を送ったのは、1990年代の終わり頃。
「バブル崩壊後の、“就職氷河期”と言われた時代です。将来のことを考えたら、とにかく資格。何としても在学中に取りたいと、考えていました。で、周囲の声を聞くと、会社法と民法が必須の公認会計士は、法学部の人間がわりと目指しやすい資格なのだと。その意見に乗ったのが、会計士になるきっかけでした」
試しに簿記の勉強を始めてみると、特有の用語や計算の仕組みも抵抗なく頭に入り、手ごたえを感じた。2年で専門学校に通い始め、大学の単位をほぼ取得し終えた3年の時には、起きてから寝るまで試験勉強漬けの生活を送る。そして4年生の秋、公認会計士第二次試験に合格。学生時代、自らに課した目標は、めでたく達成された。
ただし、ここまでは「まず資格ありき」。そもそも企業会計にそれほど興味があったわけではなく、監査という仕事が実際にどういうものなのかも、今ひとつはっきりしない。
「監査法人の採用案内を見ると、かっこいい男性ときれいな女性がさっそうと働いている(笑)。けっこう華やかな職場なのかと、想像していました」
そんなイメージと現実には、多少のギャップがあったようだ。
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