事務所探訪
HLB Meisei 有限責任監査法人
会計・アドバイザリーに関する国際ネットワークとして知られるHLBインターナショナルのメンバーに加わって10年。HLB Meiseiは世界153カ国のネットワークを背景に高品質なサービスを提供してきた。グローバルな連携のメリットについて、代表の武田剛氏は次のように語る。
「私たちは海外とのコミュニケーションを要する監査業務にも幅広く対応していますが、これは各国メンバーファームとの密接なつながりがあったからです。国際的な監査ツールを共有し、IFRS、米国会計基準に準拠した監査への知見、経験を実直に積み重ねてきました。私たちもネットワークの国際カンファレンスに出席する機会が多くなり、世界の監査業界の潮流を肌で感じています」
フィンテックが浸透し、AIやRPA、ブロックチェーンを監査に活用する動きも活発だ。各国の監査人はビッグデータを分析するデータアナリティクス、継続的監査が主流になるアシュアランス4・0の到来をひしひしと感じているという。ICT技術が進展し、監査環境がダイナミックに変化するなか、同法人は各国ファームの動向を注視しつつ、次の一手を模索し続けてきた。
「とはいえ、大手法人のように大規模な研究グループを立ち上げるほどの余力は私たちにはありません。監査の現場に即し、自分たちなりの対処を考え続けてきました。その一つがデータ監査の実践です。監査において不正リスク対応基準が厳格化するなか、資産流用や粉飾などの不正事案への厳格な対応が求められています」
武田氏が着目したのは、欧米の監査実務で導入が進むCAATツールの活用だ。このツールは大容量の電子データを網羅的に処理し、効率的な監査の実践、品質向上につなげることができる。同法人は長年の監査現場で培った実績を基に海外版データ監査ツール「ActiveData」のローカライズに協力。財務関連データの分析、さらにCAATツールの導入支援も行っている。
デジタル監査時代へのスピーディな適応を標榜する同法人だが、「データ分析ツールはあくまで“ツール”」というのが武田氏のモットーだ。
「CAATツールを導入したからといって、粉飾などの不正がすべて見抜けるわけではありません。パソコンの画面で数字を追うだけのデータ監査ではなく、調査対象の絞り込み、フォローアップを現場で泥臭く行わなければ、私たちの存在意義はありません。上がってきたデータを経験や様々な分析手法を駆使して掘り下げていくことが求められるのです」
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HLB Meisei 有限責任監査法人統括代表社員 武田 剛
1989年、法政大学卒業。青山監査法人を経て、2005年5月にHLB Meisei有限責任監査法人を設立。その後、現在に至るまで金融商品取引法などの法定監査、米国基準やIFRSに基づく保証業務やコンサルティング業務などに幅広く従事。CAATツールを駆使したデータ分析に早くから取り組み、知見を蓄積。