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「東急連結グループの多様なビジネスに伴走しながら、最適な経理体制を実現する」
東急ファイナンスアンドアカウンティング株式会社
経理・財務最前線
住友不動産株式会社財務部
同社の財務部は、総勢103名の体制。うち18名は、上場している住友不動産販売株式会社を除く、すべての子会社の経理を担当している。
坂本善信取締役財務部長は、「もともと子会社の決算や税務関連については本体で見ていたのですが、昨年末に日常の経理業務についてもこちらに一本化しました。業務のシステム化、効率化が狙いでしたが、効果は徐々に上がっています」と説明する。
本社の財務部隊は、経理課、資金調達などを担う財務課、それに財務部直轄でIR活動を行うグループの3つのセクションから成る。
「経理課では、会計、税務、そして各事業部の経理を担当します。企業によっては事業部サイドに経理機能を置くところもあると思いますが、当社は財務部が“一元管理”するかたちを取っています」
同社は、オフィスビル賃貸、マンション分譲、注文住宅、それにリフォームが事業の柱となっている。
「注文住宅とリフォームは建設業。当社は、それと不動産業の2つの業種がミックスした会社といえます。加えて、プロジェクトごとに、事業推進のための道筋は千差万別。同じものはない、と言ってもいいくらいです」と坂本氏は話す。
「例えば、土地を手当てするにしても、地権者の方は1人なのか複数いるのかで、状況は異なります。同じマンションでも、どこに建てるかで、建蔽率も容積率も、建物自体のグレードなども違ってくる。そのたびに、事業部から我々に、税務や会計処理に関する様々な相談が寄せられるわけです。その時、一律に『こうです』という答えがしにくいのが、不動産関連の経理・財務の特徴といってもいいでしょう。あくまでも、個別の案件を深く理解し検討したうえで、正確な判断を下すことが求められるのです」
同時に、「土地の仕込みから事業化まで早くて3年くらい、長期になると10年を超えるようなプロジェクトになる」のも、この世界の特徴だ。
「ビル賃貸・マンション分譲でいうと、『今期の決算がどうなるか』は、製造業など他の業種に比べて比較的予想しやすいと思います。我々財務部にとって重要になるのは、3年後、5年後の事業展開を見据えながら仕事をすることですね。例えば、金利が大きくブレれば、業績に影響しかねません。正確に見通すことは難しいのですが、変動しても過度に慌てないような方策を、常に模索していく必要があると考えています」
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取締役 財務部長坂本 善信
さかもと・よしのぶ/1981年3月、東京大学理学部卒業。同年4月、住友不動産株式会社入社。企画部、情報システム部、住宅再生事業部(新築そっくりさん)などを経て、2011年6月、取締役に就任。14年1月、財務部長に就任。