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Accountant's magazine vol.58-59

-アカウンタンツマガジン-
2020年10月01日発行

会計士の肖像

「「変化は成長の機会」。そう捉えて、臆せずチャレンジを重ねていけば、仕事・人生は豊かになる」

北山公認会計士事務所 代表
日本公認会計士協会近畿会 会長北山 久恵

会計士の肖像

専門職として能力を発揮できる職業に――。高校時代に定めた道

北山久恵が公認会計士の道を歩み始めたのは1982年。女性会計士の比率がまだ1%に届かなかった時代である。監査法人朝日会計社(現有限責任あずさ監査法人)大阪事務所に入所して以来、定年退任するまでの38年間、北山は丁寧にそのキャリアを磨き上げてきた。「常に新たな事象が起こり、様々な人たちとも出会う。こんなにエキサイティングで魅力的な仕事はない」。そう断言する北山の胸には、職業に対する愛情と矜持が刻まれている。現在は、日本公認会計士協会本部副会長ならび女性初となった近畿会会長に就き、大局的な視野から活動に尽力。生来備えているチャレンジ精神は変わらず、今日もなお北山を走らせている。

生まれは大阪。祖父と祖母、伯父一家も一緒という大家族で、500坪くらいの大きな庭のある家だったので、友達がよく遊びに来ていたのを覚えています。というのも、私はすごく体が弱かったのですよ(今では想像できませんが)。幼稚園は半分くらいしか行けなかったし、イチゴ狩りとかに出かけても帰りはぐったり……園長先生の車で戻り母に迎えに来てもらうようなひ弱な子でした。おとなしくて引っ込み思案だったけれど、成績は良かったので、小学生の頃は、担任に指名されて委員長などをやっていました。先生にすれば、きっと「しっかりさせよう」という思いがあったのでしょう。

それが変異したのは(笑)、小学校3年の頃からです。家の引っ越しで奈良の新興住宅地にある学校に転校したのですが、今度は子供の足で30分くらいかかる距離。当時は自然いっぱいで、毎日、陽に当たりながら田んぼ道や畑道を歩いているうちに体質改善されたのか、すっかり逞しくなりました。真っ黒に日焼けして、周りからは「ごぼうみたい」と言われたものです。結果、小学校は皆勤。根っこのところで我慢・根気強い部分もあったと思います。私は風邪をひいても「体調が悪い」と言えないような子でしたが、何しろ学校には行く!とか、できないことは必死になって練習するとか、自分でこうと決めたらやり抜く生真面目さはあったのでしょうね。

銀行員だった父の仕事の関係で、中学からは“神戸っ子”です。友達にも恵まれ、本当に楽しい学生生活を送りました。進学した兵庫高校では、書道部で斬新な字を創作したり、皆でスキーに行ったり、文字どおりワイワイ楽しく。成績も常に上位で充実していました。男子が圧倒的に多い進学校でしたから、先は大学に進み、何らかの職業に就いて働くというのが当然の道筋としてあったので、私も皆と同様、「仕事したい」と思っていました。男女関係なく力を発揮できる仕事を。ただ、この頃は男女雇用機会均等法など存在しない時代です。漠然とながらも浮かんだのは専門職、弁護士でした。文系でしたしね、法学部に進もうと考えていたんです。

「これからは公認会計士という職業がいいらしいよ」。話が変わったのは、銀行員だった父親に勧められたのがきっかけだ。女性が活躍できる専門職だと知り、加えて、大好きな父親の言葉に迷う余地はなく、結果、北山は神戸商科大学(現兵庫県立大学)に推薦入学する。やはり圧倒的に男子学生が多い環境だったが、部活動やゼミを通じて、北山は存分に大学生活を楽しんだ。

大学では茶道部に入り、ゼミは安平昭二先生に指導いただきました。みんな仲が良くて、合宿やスキーなどによく出かけたものです。安平先生は簿記が専門ですが、大のカラオケ好きで、個人でコンサートを開くほど。毎年の年賀状には、自作の詰将棋とスイスアルプスの写真と、多趣味でした。多様な個性に囲まれて、よく遊び、楽しみました。勉強せず、公認会計士の話も飛んでしまうくらいに(笑)。

“意識が戻った”のは4回生になったあたりから。皆、就職を意識するようになりますからね。改めて会計士を目指そうと、まずは経理学校に通い始め、簿記検定から勉強を始めました。すると、3カ月ほどで簿記1級に受かったものだから、どこかで楽勝と思ってしまった。なので、受験勉強といってものんびりしたもので、昼間は大学で友人たちと遊び、夜と日曜日に経理学校で勉強するというペース。勢いで受けた公認会計士第二次試験で「これは厳しい」と思い知ることとなり、ここからギアチェンジしたというわけです。その後は猛勉強しました。

振り返ると、いい受験時代でした。「点数を取るため」というより、本質的なことを勉強できたいい機会だったように思います。まだ勉強する領域が小さく、余裕があったのでしょうね。会計のバイブルのような基本書や、試験委員著作の本を読んで仲間とディスカッションしたり、互いに教え合ったり。ゼミの延長のようなアカデミックな感じは、私に合っていました。知的欲求が満たされて楽しかったし、それこそ、今問われている“考える力”が身についたと思います。

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Profile

北山公認会計士事務所 代表 日本公認会計士協会近畿会 会長 北山 久恵

北山公認会計士事務所 代表日本公認会計士協会近畿会 会長北山 久恵

1957年8月30日
大阪府柏原市生まれ
1980年3月
神戸商科大学
(現兵庫県立大学)
経営学部卒業
1982年10月 
公認会計士
第二次試験合格
監査法人朝日会計社
(現有限責任あずさ監査法人)
大阪事務所入所
1986年3月
公認会計士登録
1999年5月
社員
(アソシエイト・パートナー)
2006年6月
代表社員
(パートナー)
2013年7月
常務執行理事
(ダイバーシティ
推進担当)
2016年7月
日本公認会計士協会
理事、近畿会副会長
2019年7月
日本公認会計士協会
副会長、近畿会会長
2020年6月
有限責任あずさ
監査法人退所
2020年7月
北山公認会計士
事務所開設

その他役職
株式会社椿本チェイン社外取締役(現任)、日本監査研究学会理事(現任)、大阪市大規模事業リスク管理会議委員(現任)。
ほか大阪府男女共同参画推進財団理事、大阪府財産評価審査会委員、大阪市公営企業審議会委員などを歴任。

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