公認会計士「研修出向制度」体験者リポート
東日本電信電話株式会社
財務部 税務・資金部門小岩井 無我
大学卒業後、ハウスメーカーに勤務されたんですね。
小岩井はい。子供の頃からの夢だった設計の仕事を10年やりました。
なぜ畑違いの会計士に?
小岩井サラリーマンになって、それなりに社会のことがわかってきたら、会社とはどういうものなのか、経済はどう動いているのか、といったことに、興味が湧いてきたのです。そんな時、新聞で公認会計士の試験制度が大きく変わり、社会人経験のある人材も積極的に受け入れるようになるという記事を読んで、直感的に「これだ!」と。会社を辞めて試験勉強を始めたのは、31歳の時でした。
監査の仕事は、どうでしたか?
小岩井監査法人に来てまず感じたのは、一般企業に比べて“縛り”が少ないことです。一人ひとりが資格を持ったプロで、どこまでやるかもその人次第、という雰囲気はとても新鮮でした。
監査ではメーカーや商社など幅広い業種の会社を担当しましたが、直接経営者の話をお聞きし、現場にも出て、会社というのはこうやって利益を挙げていくものなのだということを実感できました。技術職ではできない、いい経験だったと思います。
一般企業への出向に、手を挙げた理由を教えてください。
小岩井社内公募でこの制度があることを知り、事業会社に身を置きながら、また新たな経験を積めることに魅力を感じました。監査の現場を離れることに不安がなかったといえば嘘になりますけど、興味を覚えると、迷いを吹っ切って進む性質なので(笑)。
もう一つ、僕の中に「会計はやったから、次は税務を経験してみたい」という気持ちがあったのですが、たまたまこの会社の希望が税務部門への人員補充だったんですよ。会計士を採るなら、普通は会計分野の仕事でしょうから、これも何かの縁だろう、と出向させていただくことにしました。
NTT東日本に出向後、どのような印象を持ちましたか?
小岩井企業である以上、利益を追求するのは当たり前でしょう。でも、この会社の場合はそれだけではなく、社員がみんな「日本の通信インフラを支えているんだ」という強い責任感を持って仕事をしていることをひしひしと感じるのです。その点は、素直にすごいなと思いました。財務も、絶対に間違いを起こさないという意識が強くて、一つひとつみんなで納得しながら進めていく、という仕事のスタイルが徹底されています。
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東日本電信電話株式会社財務部 税務・資金部門小岩井 無我
東日本電信電話株式会社財務部 税務・資金部門長
小岩井さんには、2013年7月に日本CFO協会の「出向制度」により当社へ来ていただき、税務の仕事をお願いしている。税務業務は彼の専門ではなかったが、豊富な会計知識を背景に社内の税務相談への適切なアドバイスのみならず、新税制の適用に向けた検討においても、持ち前のコミュニケーション能力を生かし、期待以上の活躍をしてくれている。
また、会計知識を備えたプロフェッショナル人材を迎え入れたことにより、議論の質が高まり、ほかの社員によい刺激を与え、全体のレベルアップにつながっている。
3年間という出向期間の半分が過ぎたが、残りの期間で、事業会社の業務プロセスをしっかりと身につけてもらい、その後の監査の現場で生かしていただければ、お互いにとって非常によい制度だったといえると思う。