監査法人の未来を担うエースたち
PwC Japan有限責任監査法人
テクノロジー・エンターテインメント アシュアランス部/マネージャー大橋 優駿
監査法人の第一線で「エース」級の成果をあげている会計人を紹介する当連載。第2回に登場するのは、PwC Japan有限責任監査法人の大橋優駿氏。シカゴ駐在から帰国したばかりの大橋氏のキャリアをひもとく。これまでは監査業務一筋。「これからもそうありたい」と願う大橋氏を駆り立てるものは何か。
もともと数字を扱う科目が好きだった。しかし、技術職には興味がない。進路指導室で目にした「公認会計士」という職業に興味を持ったのは高校2年生の時だ。進学した経済学部では簿記の講義に惹かれた。
「会社の活動を数字で表す面白さが、簿記にはありますね。仕訳を切るのは、まるでパズルゲームのよう。監査法人で働き始めて9年が経ちますが、今も会計のことを考えるのが楽しい。学生時代の自分の感覚は間違っていなかったと思っています」
大学卒業後は、あらた監査法人(現PwC Japan有限責任監査法人)に入所した。就職活動中に見聞きした監査法人のなかでも「あらたには海外赴任を経験した会計士が多い。日本にいながら海外プロジェクトにかかわるチャンスもある」と感じたそうだ。「将来はグローバルに活躍したい」と考えていた大橋氏には、理想的な環境だったといえる。
大橋氏の担当業務は、米国出向期間を除き、一貫してテクノロジーやエンターテインメント系のクライアント向けの会計監査と内部統制監査だ。しかし、これまでにキャリアが大きく動いたことが2度ある。
最初は、PwCあらたが日系テクノロジー企業の監査を受嘱した時のこと。当時入所3年目だった大橋氏がアソシエイトからシニアアソシエイトに昇進すると同時に「この監査チームのスタートメンバーとして参加しないか」と声がかかった。
「私にはかなりチャレンジングな仕事でした。アソシエイトとしての仕事がこなれてきて、少し楽になってきたタイミングだったのに、また新しい環境に飛び込こむのか。率直に言って『できない』と思いました。でも信頼できる先輩方に相談すると、皆さん『せっかくのチャンスだから絶対やったほうがいい』と言うんです。その時私が思ったのは『プロの会計士が口を揃えるなら、本当にそうなんだろう』ということ。実は今も、2人以上の先輩に同じことを言われたら、自分の意見を考え直すことにしています」
果たして、大橋氏のチャレンジは成功した。アソシエイトの頃はアサインされた目の前の仕事を全うするだけ。しかし、新クライアントとともに監査手続きを組み立てる経験を積んだことで、それまでにない信頼関係を築くことができたのだ。
「それに、この経験のおかげで『一から新しい手続きを考えてみなさい』と言われる機会が増えました。あるクライアントがPwC内部の品質監査レビューの対象になった際も、私が組み立てた監査手続きは問題なし。私にとって大きな糧となる経験となりました」
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