熱き会計人の転機
一般社団法人日本経営心理士協会
代表理事 公認会計士藤田 耕司
なぜ、公認会計士に?
藤田大学2年の時、校舎に貼られていた「企業のドクター」というキャッチの会計士のポスターが目にとまり、「カッコいい!」と心を打たれました。商学部で簿記2級を取っていましたし、会計士を目指すのは自然な流れでした。
そして、脳科学や心理学のおかげで会計士試験に合格することができました。というのも、高校までは野球一筋で偏差値40。偏差値60の志望大学に合格するために根性で勉強しましたが、結果は不合格で浪人決定。ただし、同じやり方で浪人したら同じ結果で終わる。その時に思ったのが「勉強は脳を使うのだから『脳の取扱説明書』を読んでから勉強した方が効率的だ」ということ。脳や記憶に関する本を読み漁り、記憶のメカニズムをまとめ、その内容に基づいて勉強すると、成績は急上昇。当初の志望校よりも偏差値の高い大学に合格できました。
そして、この勉強の仕方で会計士試験にも合格することができたわけです。今の私のキャリアがあるのは、まさに脳科学や心理学のおかげといえます。
合格後はトーマツに入所。どんな業務を?
藤田商社やメーカーなどの監査を担当しました。監査の仕事は楽しく、様々なビジネスモデルに詳しくなり、経営者と直接話ができ、内部資料も見られる。こんな仕事はほかにありません。
一方で、監査は数字を〝チェックする〟仕事であって、数字を〝伸ばす〟仕事ではない点に物足りなさを感じていました。
そこで26歳の時、監査法人という特殊な業界の外に広がる多様な価値観に触れたくて、異業種交流会を立ち上げました。様々な経営者と交流を深め、「売り上げが伸びない」「社員がすぐ辞める」などの悩みに触れ、それに対して会計と心理学を生かした助言をするようになります。さらに週末を使って無償で経営コンサルティングを始めると、多くの経営者から成果が出たと感謝の報告を受け、「人間心理に基づく経営」の有効性を確信――現在の「経営心理学」のベースができました。
心理学はどのように経営に生きるのでしょう。
藤田経営には、商品を買うという方向に顧客を動かし、意欲的に働くという方向に社員を動かす能力が求められます。そして、人の行動を司っているのが〝心〟です。心の性質に基づいて顧客や社員に対応すれば、行動が変わり、業績も変わります。なので、業績をよくしたければ心の性質を理解することが必要というのが、私の考えです。
監査法人で得たものは?
藤田まずコミュニケーション力です。数字を訂正してもらうことはクライアントには負担であり、感情的になることも。それでもこちらの要求を通す説得力が鍛えられました。もう一つは文章力です。監査調書の作成を通じて、文章をわかりやすく、端的にまとめる力を徹底的に鍛えられました。自分の著書にしろサイトにしろ、監査法人で鍛えられた文章力が独立後の集客にかなり生きています。
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一般社団法人日本経営心理士協会代表理事 公認会計士藤田 耕司
公認会計士
藤田先生の「経営心理士講座」に申し込んだ当時の私は、大手監査法人で最大700人の部下を抱えていました。もともと人と話すのが苦手で、難しい仕事の教え方や、やる気の引き出し方が悩みの種でした。受講して一番心に残ったのは「会話を盛り上げるのは話し手ではなく聞き手」。自分が話すより相手に話してもらうことを優先し、関係性をつくることを心がける。これを徹底すると、人と話すことが怖くなくなり、部下との心の壁もなくなりました。他のコミュニケーション講座との違いは、経営心理学が実務直結であること。具体的なモチベーションの上げ方や組織づくりまで学べます。“継続”の仕組みもこの講座の特徴です。今も定例の会議などを通じて仲間と事例を共有し、学び続けています。