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公認会計士とは?経済社会を支える
プロフェッショナルの仕事観とキャリアに迫る

会計人の人生観・仕事観を紹介アカウンタンツマガジン

『アカウンタンツマガジン』は、日本の会計プロフェッションを牽引する、
著名な公認会計士、税理士、CFOの素顔や生きざまに光をあてて、人生観・仕事観を紹介しています。
日本の会計、税務、経理・財務分野の様々な立場に従事する、現役の公認会計士の素顔や生きざまを覗いて、
ご自分のキャリアの参考になさってください。

目次

■ 簡単に言うと「公認会計士」ってどんな人?

公認会計士とは、企業や団体の作成した財務情報の正確性をチェックし、作成された財務情報が社会的に信頼できることを保証する会計監査の専門家です。国家資格を持ち、会計監査に対しては独占的な資格を持ちます。会計・監査分野で幅広い知見を有することから監査・会計・税務・コンサルティングといった幅広い分野で活躍します。

企業の信頼性や経済活動の健全性を裏側から支え、市場経済の公平性実現に貢献する「縁の下の力持ち」的な存在です。株式市場、M&A、税務申告など、経済活動に欠かせない場面でその能力を発揮します。

■ 公認会計士の役割と専門性

(1)公認会計士とはどんな職業か

公認会計士は、日本における会計監査の最高峰の資格です。主に金融商品取引法・会社法に基づいた財務諸表の監査を行うことが法的に認められている唯一の職種であり、信頼性の高い情報開示を支えるキープレイヤーです。

公認会計士試験に合格し、一定の実務経験を積み公認会計士協会の主催する試験に合格すると資格を取得し、日本公認会計士協会(JICPA)に登録され、公認会計士の業務を行うことができます。

(2)公認会計士が担う主要な業務

公認会計士は、主に以下の4つの業務を行います。

  • 会計監査業務:財務諸表の信頼性を検証し、監査意見を表明する
  • 税務業務:法人税・所得税などの税務申告や租税対策のアドバイスと申告書の提出
  • コンサルティング業務:経営改善・内部統制構築のアドバイス
  • 組織内会計士業務:経理部門や財務部門、CFO(最高財務責任者)としての業務

このように、公認会計士は会計監査の専門家としてだけでなく、経営判断を支えるパートナーとしても期待されています。

■ 公認会計士の業務内容

公認会計士は、単なる「会計監査の専門家」ではありません。法令に基づく監査業務を担う唯一の資格者でありながら、税務、コンサルティング、経営支援まで幅広いフィールドで活躍できる会計と監査の「プロ」です。

ここでは、公認会計士が具体的にどのような業務を行っているのか、会計監査・税務・コンサル・組織内会計士という4つの柱に分けて詳しく解説します。

(1)会計監査業務:信頼性の根幹を担う“社会的責任

監査業務には、監査役監査、内部監査、公認会計士監査の3つの種類があり、公認会計士が行う監査は会計監査に該当します。

この会計監査は公認会計士にしか認められていない独占業務です。特に上場企業では、金融商品取引法に基づき、第三者による財務諸表の監査が義務付けられています。その役割を果たすのが公認会計士です。

この監査の主な目的は、「企業の財務報告の正確性を保証すること」。これにより、投資家・株主・取引先・金融機関などの利害関係者が安心して取引できるようになります。

具体的な監査業務の流れ

  • 年間監査計画の作成
  • 財務諸表/計算書類・会計帳簿・証憑類(領収書・請求書など)のチェック
  • 取引の実在性や妥当性の検証(実地棚卸、残高確認状の送付・回収など)
  • 経営者ヒアリングを通じた誠実性や判断の把握
  • 監査役ヒアリングを通じたガバナンス体制の把握
  • 内部統制(社内の業務フローや不正防止策)の評価
  • 監査調書・監査報告書の作成と提出

また、企業の規模や業種、企業が置かれた状況(上場前か、会社の経営が苦しいかなど)によって必要な監査の深度や範囲が異なり、リスクに応じた柔軟な判断力と高い会計知識が求められます。

(2)税務業務:税理士登録で実現する付加価値の高いサポート

公認会計士は、税理士登録をすることで、法人税や所得税、相続税などの税務申告やアドバイザリーサービスを提供できます。税理士登録を併せて行う公認会計士も多く、監査法人退職後に独立して会計事務所などを設立するケースも多いです。

主な税務業務の内容

  • 法人税・所得税・消費税等の申告書作成
  • 節税対策や中長期的な税務プランニング
  • グループ会社間の連結納税・移転価格対応
  • 相続・贈与・事業承継に関する税務コンサルティング
  • 税務調査への立会いや税務署との折衝対応

特に近年は複雑な税制改正やグローバル対応(BEPS対応など)が求められ、単なる「申告代行」ではなく、「戦略的な税務サポート」ができる公認会計士の需要が高まっています。公認会計士にとって税務分野は初めて行う業務が多いのですが、税務業務は多岐にわたるので、自身が何を専門にしていくかの選択が大事になります。

(3)コンサルティング業務:経営の“参謀”として活躍

近年の企業経営では、財務や会計の視点をもとにした戦略的意思決定が求められており、公認会計士がコンサルタントとして企業やNPOを支援する場面が急増しています。

主な分野は以下の通り

  • 財務諸表作成対応:有価証券報告書作成支援、連結財務諸表作成支援、決算早期化支援、監査対応資料作成支援
  • 内部統制の整備・J-SOX(内部統制報告制度)対応:企業の業務プロセスの透明化、不正防止策の仕組化
  • M&Aアドバイザリー:財務デューデリジェンス、企業価値評価、PMI(統合後支援)
  • 事業再生・企業再編支援:資金繰り改善、リストラクチャリング計画の立案
  • 管理会計制度の導入:KPI設計、部門別収益管理の仕組み構築
  • 事業計画の作成支援:中期事業計画の作成と予算実績比較を可能にする社内体制の構築
  • サステナビリティ会計・ESG(環境・社会・ガバナンス)対応支援:非財務情報の可視化と報告体制の構築

また、近年では「生成AI」「業務DX」「ERP(企業の最適化システム)導入」といったIT戦略と会計知識の融合が求められる場面も増えており、公認会計士の活躍フィールドは従来の枠を超えています。

(4)組織内会計士:社内から経営を支えるプロフェッショナル

一部の公認会計士は、監査法人ではなく一般企業に所属して経理・財務・経営企画部門で働く「組織内会計士」として活躍しています。

特にIPO(新規上場)準備企業や外資系企業、大手上場企業などでは、公認会計士がCFO候補として引っ張りだこです。

企業内での主な業務内容

  • 月次・四半期・年次決算、連結決算の管理
  • 会計基準(日本基準・IFRS・US-GAAPなど)への対応
  • 内部統制の構築・ガバナンスの整備
  • 中期経営計画や資金調達戦略の立案
  • IPOに向けた開示資料作成、証券会社・監査法人の対応

会計・監査の専門性に加え、現場感覚やマネジメントスキルが求められる難易度の高い仕事ですが、企業成長の中核を担う非常にやりがいのあるポジションです。組織内会計士の経験を経ることで公認会計士としての引き出しが増えるので、こうした選択をする方は多くなっています。

■ 公認会計士の就職先とキャリア

公認会計士資格を取得した後のキャリアは、非常に多様で柔軟性があります。監査法人での勤務を経て専門性を高めるルートはもちろんのこと、企業の財務部門や経営企画、さらには独立して税務顧問や経営コンサルタントとして活躍することも可能です。本項では、公認会計士の主な就職先の特徴と、それぞれのキャリアパスについて具体的にご紹介します。

(1)主な就職先はどこか

①監査法人:会計士キャリアの出発点として最も一般的

監査法人は、公認会計士にとって最も代表的な就職先です。企業の財務諸表の適正性を監査し、投資家や株主に対して信頼性の高い情報を提供する独立した組織で、公認会計士を中心に組成されます。

監査法人のメンバーファームがある場合は、税務アドバイザリーや経営コンサルティングなど事業領域を広げていることから、こうしたメンバーファームに移籍することで業務経験と専門知識を身につけることも可能です。

BIG4監査法人(有限責任あずさ監査法人・EY新日本有限責任監査法人・有限責任監査法人トーマツ・PwC Japan有限責任監査法人)
世界的なネットワークを持ち、クライアント数・売上高ともにトップレベルで、日本国内の上場企業の約80%を監査しています。グローバル企業の監査・会計業務を中心に担当します。

業務の規模・複雑性が高く、国際基準(IFRSやUS-GAAP)に基づく監査も経験でき、キャリア初期に大規模なクライアントやお手本となるクライアントと接することで、高度な実務力とマネジメントスキル、あるべき企業の姿などを体感することができます。海外出張や海外駐在、グローバルファームとの連携も魅力の一つです。

準大手監査法人(太陽有限責任監査法人・優成監査法人・東陽監査法人・仰星監査法人など)
上場企業だけでなく中堅企業や地方企業も担当し、クライアントとの距離が近い点が特徴です。専門特化型のチームで、IPO支援やM&A支援などの経験も積みやすく、大手に比べて個々の会計士の裁量が大きく、成長機会に恵まれます。

中堅・中小監査法人
クライアントとの地域密着型の法人が比較的多く、早期に現場責任者として育成されることも。顧客との信頼関係を築きやすく、親身に対応することができます。非常勤職員の比率も高く独立を目指す人にとっては大きなステップになります。組織の柔軟性が高く、各個人が専門分野に特化したキャリア形成が可能です。

②一般企業:企業内会計士として社内から経営を支える

近年、公認会計士の就職先として人気が高まっているのが、企業(一般事業会社)への就職です。数字をチェックする側から、数字を生み出す側へのキャリアチェンジを魅力的と考える人が増えています。経理や財務、経営企画、内部監査といった部門で、企業の中枢を担う存在として活躍します。

公認会計士には、上場企業だけではなく、外資系企業、ベンチャー企業・スタートアップなど様々な企業ステージで活躍するフィールドが存在しています

上場企業(メーカー・商社・金融など)
決算業務や開示資料の作成、IR対応などの実務を担当するケースが多いです。経営者に近いポジションで働けるため、意思決定に貢献できる機会があることも大きな魅力です。企業によっては、将来的にCFOを目指せるポジションに抜擢されることもあります。

外資系企業
IFRS(国際財務報告基準)やUS-GAAP(米国会計基準)を用いた国際会計業務を行うことが考えられます。英語での会議・レポート作成などが求められ、語学力+会計力の融合が活かされます。また海外親会社の要請を受けて内部監査業務をおこなうことも。外資ならではのフラットな組織文化と高収入が魅力です。

ベンチャー企業・スタートアップなど
少数精鋭の環境で、会計・財務以外にも幅広い業務に携われます。資金調達、IPO準備、経営戦略の立案など、スピード感ある成長環境での活躍が可能で、経営陣の一角としての登用やストックオプション制度も魅力的です。

③コンサルティングファーム:戦略と数字で企業を導く

公認会計士が監査の過程で身に着けた論理的思考と資料に対する追及力、分析力は、経営コンサルティングの現場でも非常に重宝されます。

コンサルティングファームには、ビジネス全体の構造を分析し、企業変革を支援する戦略系ファーム(マッキンゼー、BCG、ベインなど)と、企業価値評価や事業再生、M&A支援を中心とする会計系ファーム(デロイトトーマツFA、PwCアドバイザリーなど)があります。

いずれのファームでも即戦力として採用されるケースが多く、また、コンサルタントとしての経験を積んだ後に、CFOやCEOとして企業に転職するケースも増えています。

④独立開業:自分の名前で勝負するキャリア

実務経験を積んだ後、独立して会計事務所を開業する公認会計士も少なくありません。独立後は、顧問契約を複数持ち、年収数千万円に到達することも可能です。

主な顧客は中小企業や個人事業主、医療法人、NPO法人など多種多様です。監査・会計・税務だけでなく、経営相談、資金調達、補助金申請など支援範囲も広く、地域密着型で「中小企業のかかりつけ医」として信頼される存在になることも。近年は副業OKの風潮も進んでおり、監査法人勤務中に副業として開業準備をするケースもあるようです。

(2)キャリアの選択肢について

公認会計士資格を取得した後のキャリアは、年齢・経験・志向性に応じて自由度の高い選択が可能です。以下は、代表的なキャリアルートの例です。

①監査法人で専門性を極める

入社後、スタッフ→シニア→マネージャー→パートナーへと昇格します。特定業種(金融、IT、製造業など)や特定業務(IPO、IFRS対応など)の専門家として活躍するケースも少なくなく、国内外の資格取得(USCPA、CIAなど)によりスキルを広げることも可能です。

②企業に転職して役職を目指す

監査法人に数年間勤務した後、上場企業・ベンチャー企業への転職を経て、将来的にはCFOなどの役職に就任し、経営陣として財務・戦略に関わるパターンです。IPOを通じて企業成長を支える経験ができ、上場後もM&Aやグローバル展開などの成長支援が求められるポジションになります。

③コンサルタントやアドバイザーとして専門特化する

監査法人に勤務した後、または勤務している中で財務コンサル、M&A、事業再生、リスクマネジメント、IT監査統制など特定分野に強みを持つ道もあります。経営陣と対等な会計監査とは異なった立場で接するディスカッションする機会が多く、自身の引き出しが増え、戦略思考が鍛えられるでしょう。

④独立して地元密着型の専門家になる

独立して事務所を構える公認会計士の方も少なくありません。中小企業の記帳代行や税務申告、から資金調達までワンストップの支援を行い、あわせて財務戦略の相談にも乗ります。クラウド会計やAIツールを活用し、業務効率化×高付加価値化を実現すれば、顧客との長期的な信頼関係のもと、安定した収益モデルが構築可能です。

⑤海外での活躍も可能

国際資格(USCPAやACCAなど)を取得し、海外子会社や外資系企業にで勤務する方もいます。国際監査チームの一員として、クロスボーダーM&Aや多国籍監査を担うこともあるかもしれません。英語力を活かしながら、日本とは異なる文化・制度に対応するダイナミックな働き方も選択可能です。

これらの道はいずれも可能性であり、どの道を選ぶかによって働き方や収入も大きく変わりますが、いずれにせよ高い専門性と柔軟性が求められます。

【公認会計士の独立やその他の選択肢についてさらに詳しく知りたい方はこちら】

公認会計士を目指す人のための「公認会計士のキャリアマップ」

■ 公認会計士の年収と安定性

(1)公認会計士の平均年収はどれくらいか

監査法人の場合、スタッフで500万円~800万円、マネージャーで900万円~1200万円、パートナーで1500万円~5000万円ほどと言われています。

非常勤勤務の場合は週2〜3日の勤務で、年収300万円〜600万円程度が目安です。

一般事業会社の場合は企業にもよりますが、厚生労働省のデータや業界調査によれば、公認会計士の平均年収は800万円~1,000万円前後とされています。経験を積むほどに収入は増え、独立や企業幹部になることで年収1,500万円以上も可能です。

(2)収入が安定している理由

公認会計士は、企業活動や法令対応に必須の職種であるため、経済状況に左右されにくく安定性が高い職業です。また、非常勤職員の場合でも監査法人との関係を良好に保つことで少なくとも日当40,000円以上の収入は得ることができます。

つまり資格によるり参入障壁が高く、専門職としての希少性が維持されている点も安定した収入を支えています。

■ 公認会計士と税理士の違い

「会計の専門家」といえば、真っ先に思い浮かぶのが公認会計士と税理士。いずれも国家資格を有する専門職であり、企業や個人の財務・税務をサポートする重要な職業です。しかし、その役割や業務内容、資格取得の方法などには明確な違いがあります。

(1)独占業務の違い

最大の違いは、「どの業務を独占的に行えるか」です。

公認会計士は、財務諸表の監査業務を独占的に行うことができます。特に上場企業や大企業に義務付けられている法定監査は、公認会計士または監査法人しか担当できません。

一方、税理士は税務申告の代理業務を独占的に行えます。法人税、所得税、相続税などの申告書作成や、税務調査の立ち合いなどが主な業務です。

つまり、「監査=公認会計士、税務=税理士」というのが基本構造です。なお、公認会計士の資格があると、試験を受けなくても税理士登録をすることが可能です。

(2)クライアントの違い

監査業務の対象となるのは上場企業や一部の大企業に限定されるため、公認会計士のクライアントはも主にこれらの大規模法人になります。対して税理士は幅広い納税者を対象としており、特に中小企業や個人事業主や個人を主なクライアントとしています。一部の大手税理士法人では上場企業を担当することもありますが、多くは中小規模の企業が中心です。

なお、公認会計士が独立して会計事務所を立ち上げた場合は、中小企業・個人事業主や個人がメインのクライアントになります。

■ 公認会計士になるためのステップ

公認会計士になるには、国家資格試験である「公認会計士試験」に合格することが必須第一歩です。

(1)試験内容

試験は「短答式試験(マーク形式)」と「論文式試験(記述形式)」の2段階で構成されており、主要な試験科目は以下のとおりです。

会計学(財務会計・管理会計) 短答式・論文式ともにあり
監査論 短答式・論文式ともにあり
企業法 短答式・論文式ともにあり
租税法 論文式のみ
経済学・民法・統計学(選択) 論文式のみ

合格後はさらに修了考査という試験を経て、日本公認会計士協会への登録が必要となります。その際には後、実務補修と2年以上の業務経験が必須であり、業務経験を積むためにBIG4に勤める人がほとんどです。

(2)合格までの過程と勉強方法

公認会計士試験の合格率は全体で約10〜12%前後で、合格までには約3,000〜4,000時間の学習が必要とされています。早ければ大学在学中の2〜3年で合格する方もいる一方で、大学卒業後に浪人して合格する人、社会人でも働きながら合格を目指す人もは多数います。

これまでは大手専門学校の通学・通信講座を活用して学ぶ人が多かったのですが、近年はオンライン教材や動画講義も普及しており、時間と場所を選ばない学習環境が整いつつあります。

■ 公認会計士に向いている人の特徴

公認会計士は資格を取ったあとこそが本当のスタートです。実務力と信頼性を積み重ねてこそ、真の成功に繋がります。ここでは、どういった方が公認会計士に向いているのか、特徴を見ていきましょう。

(1)適性や求められる資質とは

公認会計士に求められるのは、まず数字に対する正確さと論理的思考力です。会計は“事実に基づいた数値”を扱うため、重大な不正につながる細かなミスをも見逃さない注意力が不可欠です。また、監査や税務においては、高い倫理観と責任感も重要。企業や社会からの信頼を預かる仕事であるため、誠実に物事を判断し、継続して努力できる人が向いています。さらに、チームでの仕事が多いため、円滑なコミュニケーション力も求められます。

(2)成功するためのヒント

公認会計士として活躍するには、資格取得後も継続的に学ぶ姿勢が欠かせません。会計基準や税制は毎年のように改正されるため、情報収集とアップデートを怠らないことが重要です。また、英語やITスキルなどを伸ばすことで、国際業務やDX関連業務にも対応できる市場価値の高い会計士になれます。若手のうちは多様な現場で経験を積み、視野を広げることが長期的なキャリア成功につながります。

■ 公認会計士試験は不合格でも就職できる?

公認会計士試験は非常に難易度の高い国家資格資格です。そのため、多くの受験生が途中で挫折したり、数年チャレンジしても合格に至らなかったりするケースも少なくありません。しかし、「試験に落ちたらもう終わり」では決してありません。公認会計士試験の勉強で得た知識とスキルは、実務の現場でも高く評価される武器になります。
以下に不合格になった後のいくつかの選択肢を紹介します。

(1)一般企業の経理・財務として働く

公認会計士試験で学んだ知識は、一般企業の経理や財務部門で非常に役立ちます。会計基準や財務諸表の構造に精通していたり、論理的思考力・資料作成力に優れていたりする点について企業は高く評価しており、即戦力として期待しています。
特に、上場企業やIPO準備中の企業では、会計士試験経験者を経理人材として採用する例が多く見られます。

(2)監査法人で働く

公認会計士試験に合格していなくても、監査法人にトレーニーとして就職することが可能です。実際、監査法人では多くの非常勤スタッフや試験勉強中の学生が働いています。実務経験を積みながら再チャレンジにも備えられることができ、「ワーク&スタディ」型の選択肢として非常に有効です。

(3)会計事務所・税理士事務所で働く

公認会計士試験で培った会計知識を元に、会計事務所や税理士事務所で働くことも可能です。公認会計士や税理士等の専門職の補助として働くことになります。中には、将来の独立を視野に入れて会計事務所で実務を積む人も多く、税理士法人でのキャリアアップに繋がるケースもあります。

(4)税理士へ転向する

公認会計士試験の知識を活かして、税理士試験に挑戦することも一つの方法です。試験科目(簿記論・財務諸表論)が公認会計士試験と重複していたり、勉強の基礎ができているため、税法科目に集中できたりするメリットがあります。また、税理士試験は科目合格制であり、長い時間をかけて働きながら受験することができます。

(5)日商簿記検定を取得する

公認会計士試験の勉強をしていた経験を活かして、日商簿記検定(1級等)を取得することはもおすすめです。一般企業の経理・財務職や会計事務所の補助スタッフなどの求人で高く評価されます。日商簿記1級を持っていれば、税理士試験の受験資格も得られるため、資格キャリアの再構築にもつながります。

■ まとめ

公認会計士とは、企業や社会の「お金と信頼」を守るプロフェッショナルです。監査を中心に、税務や経営支援、コンサルティングなど多岐にわたる業務を担い、キャリアの幅も非常に広いのが特徴です。

資格取得は簡単ではありませんが、努力を重ねることで一生使える専門性と安定した収入を手に入れることができます。この記事を通じて、公認会計士の魅力と可能性を正しく理解し、あなた自身の進路選択に役立てていただければ幸いです。

執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。

編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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