公認会計士「研修出向制度」体験者リポート
株式会社ファミリーマート
経理財務本部 経理財務部 連結決算グループ加藤 奈美
監査法人ではどんな企業を担当していたのですか?
加藤入所以来、主としてある自動車メーカーグループの監査チームに5年半いました。ビッグな企業なので経理もすごくしっかりしていて、新人の頃は的外れな質問をしたりすると、「こうですよ」と逆に教えられたり(笑)。資格を取ったのだから最初から一人前に会社の人にアドバイスできると思い込んでいたのですが、現場に赴いても何ら貢献できていない自分に、忸怩たる思いでいっぱいでしたね。その後、経験を積むにつれ、子会社の監査を任されるようになりました。
この制度に手を挙げた理由を聞かせてください。
加藤スポットで、ある会社の財務数値づくりを援助する仕事をしたんです。社内のいろんなところから資料を集め、決算数字を日本基準からIFRSにつくり替えるという作業でした。すごく忙しかったのですが、「数字をつくる」面白さ、監査業務とは違った充実感を得ることができて、その時、本格的に企業の内部に入って仕事がしてみたい、という強い思いが芽生えました。
実は所属していた監査チームの先輩が、この制度の1期生として企業に出向していたので、制度のことは以前から知っていました。ただ、その時点では応募条件である会計士登録がまだでしたので、2012年の登録を待って、昨年応募したのです。
出向先がファミリーマートと聞いて、どうでしたか?
加藤監査法人で担当したのがメーカーだったので、できればそれ以外の業種、女性が活躍している職場、という漠然とした希望はありましたが、まさにぴったり。ありがたく思っています。「ファミマ」は家のすぐそばにもあって(笑)、とても身近だし、アジアを中心にグローバル化を加速させている勢いのある会社。自分が大いに成長できる場があるだろうと感じました。
具体的な業務の中身は?
加藤経理財務部の連結決算グループに所属して、中国セグメントを担当しています。海外事業部の方々と直接やり取りすることも、結構頻繁にあるんですよ。まだ出向して1週間後ぐらいの時、たまたま中国での資本取引の案件が持ち上がりました。さっそく「出資のスキームや、メリット・デメリットを相談したい」という連絡を受けたのですが、何とかうまくアドバイスすることができました。会計士としての知識、経験が生かせる職場なんだということを実感しましたね。
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株式会社ファミリーマート経理財務本部 経理財務部 連結決算グループ加藤 奈美
株式会社ファミリーマート上席執行役員 経理財務本部 経理財務部長
海外も含め事業が急速に拡大していくなかで、各部署から経理人材が欲しいという要請がどんどん増え、メンバーを現場に出したりするケースが増えた。そうした事情もあって、スキルの高い経理人材をできるだけ多く採用したいと考えていた時に、日本CFO協会を通じてこの制度を知り、昨年7月に計2名の会計士に来てもらった。
加藤さんには高い会計知識を生かし、通常業務の改善に対する意識や、数字を分析する時のプロの視点というようなところを経理に植え込んでもらえれば、と大いに期待している。入ってまだ6カ月ながら周囲の信頼を集め、監査のスピードアップなどの点でも貢献してくれている。連結決算担当だが、折をみて単体を見ているもう一人の会計士とチェンジして、それぞれ違う現場も経験してもらいたいと思う。