会計業界の起業人
辻・本郷税理士法人
理事長本郷 孔洋
顧問先3000社超、所員450名(関連グループ含む)、全国に8つの支部を持ち、国内最大規模を誇るのが、辻・本郷税理士法人だ。専門特化型をうたい、法人向けサービスでは、税務顧問業務をはじめ事業承継や再生・M&A、医業、公益法人、公会計など、それぞれに専門チームを編成して、会計・税務について戦略的なコンサルティングを行う。
そんな同所を率いる本郷氏なら、さぞや学生時代から会計・税務の研究に打ち込んできたのではと思いきや、意外な答えが返ってきた。
「私は政治学科を出ていましてね。もともとジャーナリストになりたかったんですよ。ところが、その就職試験に落ちちゃって(笑)。さすがに政治でメシは食えないだろうと、仕方なく商学部の大学院に入ったら、みんな会計士試験を受けると言う。それで私も会計士の試験を受けて、昭和監査法人(当時)に入ったの」と屈託のない笑顔で話す本郷氏。昭和監査法人に入所したことについても、また「なんとなく大きそうだから」との答え。だが、そこで実務に携わるようになると、衝撃を受けることになる。
「試験に合格したといっても、監査はもちろん、簿記の実務もろくにやっていないわけです。会計というのは一人前になるまで時間がかかる。それだけに、なかなか将来の展望が描けませんでしたね」
その後、そんな本郷氏の型破りな行動が独立の道へつながっていく。
「イギリスに知り合いがいましてね。仕事も退屈だし、ふと遊びにでも行ってみようかなと。それで、3カ月の休暇をもらって渡英したんです」
この時、本郷氏は30歳。当時としては、まず例のない大胆な行動だった。確たる目的のない渡英。そしてあっという間に1年が過ぎた――。
「ところが、帰国して事務所に行ってみると、私の席がないわけです。まぁ、実質クビということで(笑)。それなら独立するか、と都内目黒区の自宅に電話を引いて会計事務所を開業したのが、32歳の時でした」
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辻・本郷税理士法人理事長本郷 孔洋
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