- vol.75
-
「東急連結グループの多様なビジネスに伴走しながら、最適な経理体制を実現する」
東急ファイナンスアンドアカウンティング株式会社
経理・財務最前線
株式会社ラッシュジャパン
ラッシュはフレッシュな素材にこだわったハンドメイドのスキンケア・ヘアケア製品、バスアイテムなどを届けるグローバルブランドだ。動物実験に反対、プラスチック包装を減らすなどエシカルを追求する企業としても知られる。同社日本法人の経理財務機能は、リテールファイナンスとマニュファクチャリングファイナンスに分かれる。前者は国内83店舗を、後者は「キッチン」と呼ばれる自社製造工場をファイナンスの面からサポートする。国内および韓国や香港など7カ国に輸出する製品がキッチンでつくられている。マニュファクチャリングファイナンスのシニアマネージャーの坂井真理子氏にお話を伺った。
「原価管理を含めた経理全般が私たちの仕事。キッチンでは当社の商品を『バスボム』など10のカテゴリに分け、それぞれを製造する『ルーム』がキッチン内にあります。大きいルームでは100人近くのスタッフがおり、どれも一つの事業部隊になり得るサイズのため個別にサポートしています」
キッチンと一緒にビジネスを前に進める、そこにやりがいを感じると坂井氏は言う。例えばキッチンにとって廃棄は原価に響く大きな課題だ。
「廃棄の結果は数字にすぐに反映されます。それは品質の問題なのか、人の問題なのか、そんな議論をキッチンの担当者と繰り返しています。普通、経理を含むコーポレート部門は現場から孤立しがちですが、ラッシュでは全体と“一緒に仕事をしている”感覚が強いですね」
前述のとおりラッシュのビジネスは強い信念に裏打ちされている。ファイナンスにおいても同様だ。これまで2社の大手企業勤務を経験した坂井氏にはそれが新鮮だった。「上場企業にはないファミリービジネスの面白みかもしれません」。利益重視、株主重視という上場企業の常識がここでは通用しない。
「“ラッシュの信念”がすべてのベースにあるのです。ファイナンスもその信念を支える仕事をします。同品質の原材料で迷った時も、安価のAではなく、例えばオーガニックである、動物実験をしていないといった理由で、高価なBを選ぶ。数字だけを見ればAのはずなのに、ラッシュの信念に照らせばBになる。同じことが至る場面で発生します」
人件費についての考え方もラッシュらしいものだという。機械化による効率化が世の流れだが、ハンドメイドにこだわる以上、機械化は最低限。「バスボム一つとっても、専任者が原材料を型に詰めて手づくりしているんですよ」。そんな環境下で効率化を図ろうとするなら、人を育てることが重要となる。
「入社3カ月の人よりも入社3年の人のほうが早く上手につくれるのは当然ですよね。じゃあどうやって人を定着させて育てるか、そこにどうお金をかけるか、という発想になる。これも、私が過去に経験した職場にはあまりなかったものですね」
この記事の続きを閲覧するには、ご登録 [無料] が必要です。
マニュファクチャリングファイナンス 財務経理部 シニアマネージャー坂井 真理子
さかい・まりこ/1999年、米国アパラチアン州立大学大学院修了後、現地の大手DIY関連企業に入社。経理財務部門やトレジャリー部門に約9年間勤務。2008年に帰国し、ゼネラル・エレクトリック社の経理財務部門に約8年間勤務。18年2月、ラッシュジャパンに入社。現在に至る。