公認会計士「研修出向制度」体験者リポート
サントリービジネスエキスパート株式会社
ビジネスシステム本部 経理センター黒田 和哉
大学を卒業後、いったん事業会社に就職なさっています。
黒田1999年の卒業なのですが、当時盛り上がっていた情報システム系の仕事ができればと思い、NTTのグループ企業に入りました。ただ、配属された部署が、自分のやりたいと思っていた分野とは少し違っており、業務を続けるのが辛くなってしまった。結局2年で転職を決意しました。
会計士になろうと思ったのはなぜですか?
黒田その時、元々自分のやりたかったことは何だったのか、立ち戻ってみたんです。学生時代には漠然と企業経営に興味があって、経営関係のゼミに入っていました。ここはやはり初心に帰るべき、と思ったわけです。改めて経営のアドバイス的な仕事をしてみたいと考え、その方向を目指すことにしました。ただすでに新卒ではないので、普通に再就職しようとしても厳しい。そこで、まず公認会計士の資格取得を目指すことを決めました。
実際には監査の仕事をすることになったわけですが。
黒田学生時代から、人から「ありがとう」と言っていただけるよう仕事を頑張りたいと強く思っていました。監査法人入所後3、4年は、現場担当者の下で具体的な数字を見て、企業の方ともわりとフランクに話ができる立場にあります。経理の方がこちらの話に納得して、「ありがとう」と声をかけてくれるようなことも多かったのです。直接、経営に対して云々はありませんでしたが、監査の仕事には非常にやりがいを感じました。
出向制度に応募した理由を聞かせてください。
黒田キャリアを積んで自分が若手スタッフを束ねて監査を行う立場になってくると、企業の方と意見のぶつかることが多くなってきたんです。会計監査という業務の性格上、そのこと自体は悪いことではないと思うのですが、そもそも企業側と監査する側の数字に対する見方、ベクトルの違うことが大きな原因だ、と感じるようになりました。実際に事業会社に入れば、その違いの正体がはっきりするのではないか、それを知るのは意味のあることだろう、と考えたのが大きな理由です。
実はすぐに手を挙げていれば、出向の「1期生」になったのですけど、制度がどのように運用されるのか不安がなかったわけではなく(笑)、1年目は様子を見ることにしました。現場の責任者になってまだ2年目ぐらいだったので、もう少し監査の経験を積みたい、という思いもありました。ただ実際に出向した同期の人の話を聞いても、一般の社員の方と分け隔てなく働いていることがわかりました。それこそ自分の求めるものだと確信し、翌年、満を持して応募したわけです。
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サントリービジネスエキスパート株式会社ビジネスシステム本部 経理センター黒田 和哉
サントリービジネスエキスパート株式会社執行役員 経理センター長
経理センターはサントリーのグループ会社のうち規模の大きな十数社の経理業務を一手に引き受けている。各社の経理業務を担うグループと連結決算のように全体を見るグループがあるが、黒田君には後者を担当してもらっている。
当センターは、人員構成の面で中堅の層が薄いという事情があり、かつ昨今の会計の高度化、複雑化、グローバル化の進展のもと、スキルのある即戦力がぜひとも欲しかった。この制度について初めて聞いた時には、どんな人が来てくれるのか、正直不安もあったのだが、黒田君は“当たり”だった。周囲のレベルアップも含め、経理基盤の強化に寄与してくれている。翌年にも1名の出向をお願いし、別に1名の会計士を中途採用した。彼らの貢献を見て、経理にも会計士の知識や技術が必要な時代だと、再認識している。