事務所探訪
APアウトソーシング株式会社
同社はアーサーアンダーセンを母体とし、2004年にKPMGあずさ監査法人から分離独立して創設された。06年には税理士法人、社会保険労務士法人を設立、経理、会計、税務、給与および社会保険に関するアウトソーシングサービスをワンストップで提供。現在、公認会計士、公認会計士補、米国公認会計士、税理士、社労士など有資格者を含む計88名の陣容である。
同社の大きな特徴は200社強の顧客のうち約70%が外資系企業であること。千葉和彦代表は「大半は10〜20人の規模。外資の場合こうした“出先”には経理部がないのが普通で、我々が現預金の管理から給与、経費支払い、試算表作成、本国への財務報告と質疑応答まで、丸抱えで請け負うのです」と話す。
一方、国内企業のほうは、「普通の税理士法人などがやらない、大規模上場企業がほとんど」だという。
「連結決算支援、四半期開示報告書支援、英文財務開示支援など、同じ経理でも“後工程”の仕事が多いですね。税務や社会保険に関しては専門機能を持たない企業に出向いて様々な税務・労務相談を受ける、オンサイトサービスなども行っています」
社名にもあるアウトソーシング事業の意義について、千葉氏は「外部から調達できるものは調達し、自らの得意とする部分にリソースを集中的に投下したほうが、会社の発展にとってはプラスですよ、というのが基本的なセールスポイント」だと明快に述べる。
「ただし、今ある仕事を機械的に外に出すというだけでは、ほとんどの場合、担当部署が抱える問題は解決しません。アウトソースに当たっては、何と何を改善したらより効率的に回せるようになるのか、といったコンサルの部分が大事になります」
そんな同社が09年に始めたのが、海外進出企業、海外での事業展開を目指す企業をサポートするコンサルティング事業だ。
「ニーズはあったのですが、支援できる体制がなかった。そんな折、会計・法律事務所の世界的なネットワークであるECOVISインターナショナルの存在を知りました。そこに加盟することにより、欧米や東南アジアをはじめ、世界各国に出ていく日本企業をお手伝いすることが可能になったのです」
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APアウトソーシング株式会社千葉 和彦
岩手県出身。1982年、福島大学経済学部卒業。同年、公認会計士第二次試験に合格し、アーサーアンダーセン東京事務所に入所。89年から94年まで同シカゴ事務所に駐在。2004年、KPMGあずさ監査法人から朝日KPMGアウトソーシング株式会社を分離独立させ、APアウトソーシングを設立。代表取締役に就任。税理士登録。
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