税理士試験の受験者数の減少は、税理士の転職市場にも大きな影響を与えています。また、毎年複雑化する税制改正に伴い、税の専門家である税理士のニーズは高まる一方です。
税理士が活躍するフィールドではどのような動きがあるのか、またどのような人材が求められているのか、そして転職活動をする際に押さえておきたいポイントについて、是非参考にしていただければと思います。

1. 税理士の転職動向

税理士転職動向

税理士試験受験者数は、2005年の56,314名をピークに、その後は減少傾向にあります。最終合格者数については、年度により多少のばらつきがありますが、こちらもトレンドとしては減少を続けており、2013年905名、2014年910名、2015年835名、2016年756名と4年連続で1,000名を割り込む結果になっています。

一方で、同期間の有効求人倍率はリーマンショックなどの影響で、一時期大きく冷えこみましたが、2009年を底に2016年まで7年連続で上昇しています。

こういった転職動向の好転と税理士試験の合格者数減少を受け、様々な業界・職種で税理士の採用需要は高まっており、売り手市場の状況が続いています。

2. 税理士の活躍するフィールドと職種別転職動向

税理士の活躍するフィールドと職種別転職動向

税理士試験の特徴の一つとして、公認会計士試験と比べて受験年齢が高いということがあげられます。
2016年の試験では、30歳以下が30.4%、31歳以上40歳以下が37.3%、41歳以上が32.3%となっており、2015年の試験よりも全体的な年齢層が上がっています。このデータからも、何らかの仕事に就きながら税理士試験を受験している年代の方が多いことが読み取れます。公認会計士試験合格者の多くが監査法人に入所することに比べれば、税理士試験の合格者は、その方のそれまでのキャリアに応じて多くの選択肢が広がっています。ここで、そのフィールドを一部ご紹介します。

税理士事務所や税理士法人、公認会計士事務所については、ここ数年、合格者に向けた採用イベントに参加をしても予定人数を採用しきれないという声がよく聞かれます。リーマンショック前の業績に戻す企業も増えており、クライアント需要は高まっているものの合格者の減少から人員確保が追いついておらず、タックスファームの採用ニーズは、高止まりを続けています。

その他、財務・経営・M&Aなどのアドバイザリーを手掛けるファームにおいても税理士の採用需要は高いと言えます。海外への進出、海外への投資を行う際には、税務面のリスクやメリットも勘案する必要があり、税理士の知見が必要とされる場面が多くあるからです。

税理士の転職における業界動向については、こちらのQ&Aも参考にしてみて下さい。

2-1. 職種別の転職動向

では、もう少し詳しく、職種別の転職動向を見ていきましょう。

税務・会計コンサルタントの転職動向

税務・会計コンサルタントの転職動向

税理士法人や会計事務所、税理士事務所での税理士の採用意欲は、依然として高い状態をキープしています。上場企業やそのグループ企業、また、上場を目指す企業など、会計監査を受ける企業にとっては税務だけでなく会計についても同時にサービス提供を希望しており、「税務のわかる公認会計士」とともに、「会計のわかる税理士」を求める声は非常に増えています。

従来であれば同様の規模のクライアントを経験したことがある税理士を対象にしていた求人も、採用需要の高まりから応募基準のハードルを下げているファームが増えています。今までは中小企業に向けた税務サービスを提供していた方で、今後は、より規模の大きなクライアントを担当できるファームに転職をしたいのであれば、門戸の広がっている今がよい機会ではないでしょうか。

平成27年の相続税改正を受けて、資産税の求人も増えています。経営者の高齢化から来る事業承継対策や、個人の相続対策など、資産税に特化したファームも増えています。資産税未経験の方を求めるファームもありますが、税理士試験の相続税法を取得していると、他の方との差別化にもなるでしょう。他の税務と違い、かなりプライベートなことに関わるようになりますので、個人クライアントから信頼を得られるようなコミュニケーションスキルも重視されます。

労働環境については、ハードワークを理由に転職される方も多い職種でしたが、残業時間のコントロールや、時短勤務など様々な働き方を受け入れるファームも増えており、優秀な人材を確保するために業界全体として働きやすい環境を整備して行く傾向にあります。

経理・財務の転職動向

経理・財務の転職動向

事業会社で税理士を必要としている求人については、海外展開を積極的に進めている上場企業が中心となります。こういった規模の企業は、個別の論点について、顧問税理士に相談をしながら進めている企業がほとんどですが、ある程度社内で検討ができる人材を確保したいという思いがあります。

BIG4を中心とした大手法人で、国際税務に関与したことがある方が対象になるケースが多いですが、これに関与したことの無い方であっても、一定の英語力を持った方には機会が生まれます。英語力については、自己研鑽をしておくことで転職時の選択肢は広がります。

一方で、企業規模の大小を問わず全ての法人に税務は関わりますので、潜在的に税理士を求める声は、多くの企業にあると思います。企業規模にもよりますが、その多くは経理・財務部門に所属して、日常的な仕訳・入力から決算、現預金管理、資金繰り、管理会計などの業務と並行して税務を担当するということになります。業務の中でも、専門的な税の知識・経験を求められるものは、全体の1割に満たないケースもあり、その点は、理解しておく必要があります。

一般的には求人企業側も税の専門家を求めている訳ではなく、税理士資格を応募要件に挙げるのも稀なケースとなります。他の方には無い税務の知識・経験が差別化要因となりますので、転職を有利に進められると思います。

面接に臨むにあたり注意したいのは、事業会社が税理士を選考する上で「折角採用してもいずれ独立してしまうのではないか」「税務以外の業務は希望しないのではないか」という懸念を持っていることです。こういった採用側の声をよく耳にしますので、面接などの機会にこの点を払拭できるとよいでしょう。

国際税務コンサルタントの転職動向

国際税務コンサルタントの転職動向

税理士法人や会計事務所、税理士事務所での税理士の採用意欲が高い状態にあることに加え、国内の事業会社が海外に事業展開をする動きも活発であることが後押しし、国際税務分野においても人材ニーズは依然高い状況が続いています。

語学力と一般法人税務の経験を要件とする募集が多くありますが、移転価格税制などは、語学力に長けている方であれば税務分野の経験は不問で、選考が進められるケースも多くあります。

2016年11月に国税庁が発表した資料によると、2015年事務年度における移転価格税制に係る実地調査において、非違件数は過去最高となった2014年事務年度の240件から218件と減少していますが、事前確認の申出件数は121件から137件に増加しています。タックス・ヘイブン対策税制に係る実地調査においては、非違件数は58件から69件に増加しています。顕著なのは、海外取引等に係る源泉所得税等の実地調査において、2014年事務年度から2015年事務年度の非違件数は1,493件から1,527件と102.3%の伸びだったものの、追徴税額で見ると4,072百万円から16,988百万円と417.2%の伸びとなっています。

これらのデータからもわかる通り、国境を越えた経済活動が複雑・多様化する中で、移転価格を含めた国際税務経験を持った人材のニーズが増加しており、今後益々注目される領域になると思われます。

税務の経験を有する方も、そうでない方にとっても選択肢となる分野ですが、そのためには、業務にもよりますが概ねTOEIC800点以上の英語力が求められることが一般的です。希望をされる方は、先ずは英語力の研鑽を行うとよいでしょう。

M&A・企業再生の転職動向

税務・会計コンサルタントの転職動向

大手のM&Aのアドバイザリーファームや、会計系アドバイザリーファームなど大型のM&Aを手掛けるファームでは、クロスボーダー案件も多く、英語力や会計的な知識・経験を求められる場合が多いため、税理士よりも公認会計士が求められるケースが多いと言えます。

一方、高齢の経営者による後継者問題を抱える中小企業も多く、こういった企業では、まず相談先となるのは日常的に接点の多い税理士法人や会計事務所系のファームになることが一般的です。
解決の手段は複数ありますが、その一つとしてM&Aを選択する場合もあり、顧問の税理士がそのままM&Aのアドバイザリーをしていることも少なくありません。
この様なケースにおいてはテクニカルなスキルだけでなく、経営者の事業にかける想いに応えていくようなウェットな人間関係の構築もコンサルタントには求められます。

法人の巡回などで、日常的に経営者の相談相手になっていた経験を持つ税理士にとっては、それの延長線上にあるような業務となりますし、英語力を求められるケースもあまりないため、転職先としては視野に入れやすいかもしれません。

2-2. 働く場所別の転職動向

次に、税理士が税務の強みをいかせるフィールドを、働く場所別にご紹介していきます。
税理士が活躍しているフィールドとしては、以下のようなものが挙げられます。それぞれの詳しい業務内容はリンク先の記事をご参照ください。

税理士法人
コンサルティングファーム
監査法人
大企業(上場企業)
上場子会社
ベンチャー(上場、上場準備)
非上場企業
外資系企業

実際にこれらのフィールドで活躍している税理士の方のインタビュー記事はこちらからご覧いただけます。
国内税務・国際税務×会計事務所・税理士法人 EY税理士法人 石渡雄平様
国内税務・国際税務×大企業(上場企業) 全日本空輸株式会社 西野麻里香様
事業承継×税理士法人 みらいコンサルティング 守田善紀様

そして、税理士の方の転職事例はこちらでご紹介しています。
税理士資格を取得し、念願の大手税理士法人へ入所が決定
30代後半で税務コンサルタントにキャリアチェンジ
挑戦し続ける姿勢と行動力で、上場企業の経理職へ
書類選考で一度落ちたコンサルティング会社へ再挑戦し成功!

これらの記事からも、税理士の働くフィールドが広がってきていることがお分かりいただけると思います。
ご自身のキャリアチェンジ、キャリアアップの方向性と比較しながら、検討材料の一つにしてみてはいかがでしょうか。
税理士 転職事例はこちら

3.税理士の転職における心構え

税理士の転職における心構え

転職において年収のアップダウンは皆さんの気になる部分だと思います。一般的にタックスファームの年収水準は、そこで提供されているサービスの内容やクライアント規模に比例をしています。月額の顧問料についても零細企業と上場企業では雲泥の差があり、それを担当するコンサルタントの年収にも反映される事になります。また、組織的に業務が行われているファームでは所長(代表社員)以外にマネージャーやパートナーなど、実務だけでなくマネジメント業務を行っている方が存在します。同じタックスファームの中でも、この様にクライアントに対してより付加価値を生み出せるサービスを自分自身が身に着けていく事や、マネジメントスキルを身に着けていく事が年収アップに繋がって行きます。

一方でタックスファーム以外に転職される方も多いのですが、BIG4と言われる大手税理士法人などから転職を考える場合は、比較的年齢が若いうちは上場企業と比較をしても世間一般の年収水準に比べて高い事も多く、短期的な年収については多少ダウンを覚悟しておく必要があるかもしれません。税理士の年収・待遇の悩みについて、個別に質問お答えしているQ&Aはこちらでご紹介しています。

また、事業会社に転職を考える場合には、入社後に自分が関与する業務の中で、税務の割合はそれほど高くないという事を認識しておく必要があります。税務部や税務室など専門部署を設けている企業はごく一握りの大企業です。あくまでも一例ですが、経理として月次・年次の決算処理を行い、海外の現地法人と窓口的な業務を行いながら、全体の1~2割ぐらいは税務に関わる業務が発生する、といった様なイメージを予め持つ事が重要です。転職後しばらくして税理士としての専門性が活かせていないという感覚が拭い去れず、再び転職を考える事になりかねませんので注意しましょう。

会計事務所や税理士法人で経験を積むべきか、コンサルティングファームや一般事業会社へキャリアチェンジするべきか…このような悩みを抱えている税理士の方は多くいらっしゃると思います。税理士のキャリアチェンジの悩みキャリアプランの悩みについても、是非Q&Aを参考にしてみて下さい。

税理士 転職Q&A カテゴリ別
税理士 転職Q&A 全記事

4. 応募書類の書き方と面接対策

税理士の履歴書・職務経歴書の書き方のポイント

税理士の履歴書・職務経歴書の書き方のポイント履歴書の書き方については、一般的に書式がある程度決まっていることもあり、難しく考える必要はありません。
こちらの記事を参考にして正確な文書を作成してみてください。
履歴書の書き方

一方、職務経歴書については、履歴書と比べて書式の自由度が高いといわれますが、基本的な書き方は共通事項があります。
基本的な職務経歴書の書き方はこちらから

大枠の書式を決めたら、一番重要な職務内容を記載していきましょう。職務内容の項目については、今までのご経験が会計事務所での経験なのか、または一般事業会社での経験なのかということにより、アピールするポイントが異なります。それぞれこちらの記事を参考にして作成することをお勧めします。
会計事務所・税理士法人での職務経歴書の書き方とサンプル
会計ファームの管理職の職務経歴書の書き方とサンプル
上場企業の経理の職務経歴書の書き方とサンプル
一般事業会社の管理職の職務経歴書の書き方とサンプル
一般事業会社のM&A・グループ会社管理の職務経歴書の書き方とサンプル
一般事業会社の財務の職務経歴書の書き方とサンプル

このほかにも、職種別や企業の業種別などで細かくカテゴリーを分け、職務経歴書を書く際のポイントを解説しています。自己PRの文章もサンプルが掲載されていますので、是非参考にしてみて下さい。
会計、税務、経理・財務分野 職務経歴書の書き方

税理士のための面接対策

まず初めに、面接の際に気を付けるべきポイントはこちらをご参照ください。
面接のポイント

ジャスネットコミュニケーションズのエージェントは、応募先の事務所や企業のことを熟知し、面接の事前対策もじっくりと行っています。職務経歴書の書き方に工夫が必要なように、面接で想定される質問や志望動機で伝えるべきポイントなども応募先の特徴によって異なります。これらのポイントを事前に打ち合わせさせていただき、当日自信をもって面接に臨めるようにサポートさせていただきます。
エージェント紹介

5.まとめ

ご紹介してきたように、税理士の転職市場はまさに売り手市場であると言えます。
売り手市場だからと言ってすぐに転職を考えるというのは早計であるかもしれませんが、選択肢が多いということは事実です。この機会に、今までご経験されてきた内容を「どこで」「どのように」生かしていくか、事例を参考にしながらじっくりと将来のキャリアプランを練ってみてはいかがでしょうか。
ある程度キャリアの方向性が決まっている方も、どの方向に一歩踏み出せばいいか迷っている方も、まずはエージェントにご相談ください。豊富な知識と経験をもとに、一緒にキャリアプランを考えていきましょう。


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