
米国公認会計士が活躍する場所
株式会社ユーニード
代表取締役佐藤 佳奈子

――今はデジタルノマドとして、海外を飛び回っているとか。
佐藤はい。特定の拠点を持たずに、旅をしながら仕事をしています。先日はタイに滞在してから福岡に移動し、社外取締役を務める会社の役員会に出席しました。主な業務内容は会計コンサルティング。最近はSAPなど基幹システムの導入支援に注力しています。例えば、日本企業が買収した海外法人に親会社と同じシステムを導入する、といったパターンが多いです。
――会計と出合った経緯を教えてください。
佐藤大学時代の専攻はマスコミ系で、会計とは無縁でした。卒業後に海外のホテルで働いた際、ツアーガイドのような仕事をしました。ツアーの伝票整理や精算業務を任されているうちに「自分は数字を扱う仕事に向いているな」と感じました。運営会社のCFOが強い力を持っていたことも大きいですね。「会計を身につければキャリアアップできる」と確信しました。帰国後は、経理など会計関連の仕事をしながら、USCPAの予備校に通いました。
公認会計士ではなくUSCPAを選んだのは、英語力を生かしたかったからです。また、日本の会計業界は女性が少数派で、キャリアを積んでいくのが難しい印象も。「英語×会計」という組み合わせなら、自分なりの差別化ができ、独立する際にも役立つだろうと考えました。
――仕事と勉強の両立は大変だったのでは?
佐藤とても大変でした(笑)。一生懸命、分厚い問題集を解いてもなかなか結果が出なくて。予備校の先生に相談すると「問題から解くのではなく、まず解説を読んでから問題を解いたほうがいい」とアドバイスされて、ぐっと効率がよくなりました。途中で何度か勉強を休んだのもよかったと思います。最終的に4科目を取り切れさえすればいいんだからと、合格までに3年かけました。
――USCPA合格後のキャリアについて教えてください。
佐藤金融機関出身の予備校の先生の話をよく聞いていた影響もあって、金融業界を意識していました。合格後、最初に入社したのはフィデリティ投信です。お客さまから預かった資金の管理をしたり、管理会計部門に異動して各部門の損益管理をしたりしていました。その後は、マーケットのアップダウンに合わせて複数の外資系金融機関を渡り歩きました。
特に、リーマンショック時のリーマン・ブラザーズに在籍していたのは得難い経験です。当時取り組んでいた不動産金融のマーケットがなくなり、自分のキャリアが全否定されたような……とても大きなインパクトがありました。ただ、次のキャリアを模索するなか、大学院で環境コンサルティングを学ぶきっかけにもなりました。
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株式会社ユーニード代表取締役佐藤 佳奈子
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