知識と経験に加えて事業理解が問われる

持続可能な社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」を標榜するいちご株式会社。現存ストックを有効活用して新しい価値を創造する「心築」事業をはじめ、クリーンエネルギー事業、J－REITやインフラ投資法人等の運用を行うアセットマネジメント事業の3つを柱としている。

財務本部のメンバーは約20名。財務部、企画経理部、IR推進部、事業推進部に分かれ、各機能を担う。「4つの部署が一つの本部として企業価値向上に対して責務を負い、日々活動しています」と、財務本部長の坂松孝紀氏。

同社内では現在、デジタル化やDX化が急速に進む。ここ財務本部も今期中にペーパーレス化を終え、業務効率の向上を図る計画だという。これにより数十万枚分の紙資料が電子化され、多くの業務がリモートワークで可能になっていく。

「DX化などによるオペレーションの改善は単なる効率化という側面だけでなく、攻めの役割へのシフトやデータ基盤の構築は経営基盤の強化につながるため取り組みは不可欠。より高度な仕組みづくりを進めていく」

同社がさらなる飛躍を遂げるには、会社の屋台骨を支える財務本部としての“守り”の機能から“攻め”の機能にさらにシフトする必要があるとの考えだ。

「財務本部の役割は大きく4つあります。戦略を立案するストラテジスト、戦略実行を推進するカタリスト、統制環境を整備するスチュワード、各種会計処理を実行するオペレーターです。攻めの機能を担うストラテジストやカタリスト的な仕事の比重を増やしていくことがとても大切です」

では、財務本部のメンバーに求められるものは何か。公認会計士、税理士等の専門資格取得を推奨しつつ、前述の4つの役割を果たすうえで、“知識×経験×事業理解”という掛け算がより大切だと坂松氏は説明する。

「財務本部が芯を食った貢献度の高い活動ができるかどうかについては、メンバーの事業理解の深さが大きく関係してきます。それは会計税務系資格だけ、財務本部での実務経験だけでは難しい面があります。現在は、財務本部から事業部への異動や兼務によりメンバーの事業理解を促しています」