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Accountant's magazineとは

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Accountant's magazine vol.65

-アカウンタンツマガジン-
2022年04月01日発行

会計士の肖像

「"組織"より"個人"優先でいい。そうすれば、選択肢が多く持てる。大事なのは、探求心、好奇心、時間と労を惜しまないこと」

監査法人アヴァンティア
法人代表CEO/マネージング・パートナー小笠原 直

会計士の肖像

バイト三昧の学生時代。友人に導かれ公認会計士を目指す

2008年に監査法人アヴァンティアを設立した小笠原直の経歴で、ひときわ目を引くのが、「第一勧業銀行(現みずほ銀行)大手町支店配属」の記載だ。メガバンクの、しかも名立たる大企業が集積する“要衝”で頭角を現しつつあった若き銀行員はしかし、3年で同行を辞すことになる。新天地に選んだのは、当時数十人規模だった監査法人。独立して立ち上げた法人も、“適正規模”のコンセプトを貫く。そこには、小笠原の譲れぬ理念、そして理に適う戦略があった。

生まれは山形の米沢です。でも、父親が新聞の社会部の記者だったために、その転勤に合わせて小2で栃木の日光、中2で宇都宮と、引っ越しを繰り返しました。ちょうど友達ができた頃に転校というのは、きつかった。最低限いじめに遭わないよう、子供心にサバイバル術を探しているようなところがありましたね。野球から、剣道、卓球とスポーツも割と得意だったのですが、中学の時にはひたすら勉強して、模試で全県2位になったこともあります。

進学した県立宇都宮高校は、ものすごくバンカラな男子校です。男は「モテたい」というのがモチベーションになったりするじゃないですか。つくづく異性がいない環境だと力が出ないものなんだ、と思い知らされました(笑)。

ゆえに、あまりやる気の出ない高校生活を送っていたのですが、人間、何が転機になるかわかりません。高2の夏休み前頃、テレビで見たサッカーワールドカップ・スペイン大会(1982年)が僕を変えた。この大会では、大方の予想を覆し、イタリアがジーコのいたブラジルや当時の西ドイツを破って優勝。それもすごかったけれど、なんといっても映像を通して伝わってくる会場の熱気、熱狂ぶりに痺れました。そして、自分もこういう世界に近づきたい、こんな大イベントをマネジメントできたらいいな、という思いが込み上げてきて。そのためには英語や世界史を真剣に学ぶ必要があるんじゃないか、と。気づいたらすっかり“勉強モード”になっていたわけです。この時期ほど、したいと思って勉強した日々はなかったですね。その甲斐あって、一橋大学経済学部に現役合格することができました。

ただし、合格してみると、そこも“ほぼ男子校”の世界だった。辛い受験勉強の反動もあり、再び心のタガは緩む。ほとんどキャンパスに行くこともなく、部屋で好きな音楽を聴いたり、居酒屋の店員や塾講師などのバイトに精を出したり。その稼ぎは、当時流行していたディスコで遊ぶために六本木まで通い、そこに着ていく服を購入すると、あらかた消えていた。

気の合う仲間たちと、テニス&温泉サークルなんていうのもつくりました。戦術を練ってアプローチして、女子大の学生を大勢メンバーにしたり。大学も、最初の2年間は本当に楽しかった。でも、3年になりゼミを選択する段になると、そろそろ進む方向性を決めなくてはなりません。といわれても、なんとなく普通の会社に就職するというのはピンとこない。そんな時、商学部生だったサークルのメンバーの一人が、「俺は会計のゼミに入って公認会計士を目指す。一緒にやらないか」と声をかけてくれたのです。

そこで、はっと思い出したのは、高校時代に旺文社の『スペシャリストへの道』というガイド本を読んで、医師や弁護士とともに、公認会計士のページにも、しっかり折り目を付けていたこと。もう一つ、大学1年秋に不慮の死を遂げた親友の言葉も蘇りました。優秀だった彼は、すでにその時点で会計士を目指していて、何もなければ在学中に合格したでしょう。死の1週間前、借りていた授業のノートを返しに行った僕に、彼は「なあ小笠原、お前もうちょっと勉強したほうがいいよ」とポツリと言ったのです。まったくそのとおりで、“近代経済学のメッカ”で学びたい、とそれなりの努力を払って入学したのに、僕は2年間、何もしていなかった。まあ、いろんなことは始めてから考えればいいだろうと割り切って、学部を超えて商学部の会計ゼミに入ることに決めました。

しかし、決意だけで順調に事が進むほど、世の中は甘くない。専門学校にも通って資格試験突破を目指したわけですが、初回の簿記の模試で、なんと167人中166位という惨敗。致命的ですよね、会計士を目指す人間としては。親に頼んで授業料を出してもらったのに、模試はほぼビリ。この現実に直面して考えたのは、すぐ本丸に攻め入るのではなく、まずは外堀を埋めることでした。比較的得意な経済学や経営学、商法などを固めて、まずは乱れた心を鎮めよう、と(笑)。戦術は当たり、なんとなく勉強の要領も掴んで、徐々に本丸でも戦えるようになりました。1年留年しましたが、1988年10月、めでたく公認会計士第二次試験に合格することができたのです。いちおう名誉のためにも申し上げると、「財務諸表論」は全答練でトップでした。

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Profile

監査法人アヴァンティア 法人代表CEO/マネージング・パートナー 小笠原 直

監査法人アヴァンティア法人代表CEO/マネージング・パートナー小笠原 直

1965年8月19日
山形県米沢市生まれ
1988年10月
公認会計士第二次試験合格
1989年3月
一橋大学経済学部卒業
1989年4月
第一勧業銀行
(現みずほ銀行)入行
1991年12月
太陽監査法人
(現太陽有限責任監査法人)
入所
1992年8月
公認会計士登録
2007年7月
太陽ASG監査法人
(現太陽有限責任監査法人)
代表社員就任
2008年10月
監査法人アヴァンティア
法人代表 代表社員就任
2010年4月
公認会計士修了試験
試験委員
2020年7月
公認会計士如水会
(一橋大学OB会)会長就任
2021年7月
監査法人アヴァンティア
法人代表CEO 就任

◎その他の現職
・ (独)大学改革支援・学位授与機構監事
・ 東プレ株式会社社外取締役
・ 都築電気株式会社社外監査役
・ 一橋大学大学院経営管理研究科非常勤講師
※日本公認会計士協会実務補習所副委員長、
慶應義塾大学環境情報学部准教授(特別招聘)、千葉大学法経学部(現法政経学部)非常勤講師なども歴任

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