監査法人の未来を担うエースたち
仰星監査法人
シニアマネージャー素村 康一
監査法人の第一線で「エース」級の成果をあげている会計人を紹介する当連載。第6回に登場するのは、仰星監査法人の素村康一氏だ。事業会社を経て会計のキャリアをスタートさせた。入所して10年目にシニアマネージャーに昇格、現在は社内研修講師を務めるなど、組織力の底上げにも尽力する。
高校生の頃、世の中の職業が一覧になっている本を読んだ。自分が得意な数学を生かせる難関資格として、公認会計士に挑戦する価値を感じた。だが大学在学中の受験は断念している。
「勉強がはかどらず、このまま勉強を続けても合格まで何年かかるかと。リーマンショックの前で売り手市場だった時代でもあります。会計士はきっぱり諦めて、大手自動車部品メーカーに就職しました」
試験勉強の経験が生かせると踏んで経理職を希望したが、資格を持たなかったためか、実際に配属されたのは営業職だった。それでも「営業でよかった」と素村氏は述懐する。
「バイヤーとの価格交渉が業務の中心でした。具体的な数字と根拠を揃えて、〝値上げ〟をしていただくため説得力のあるロジックを組み立てる。そうした論理的思考力が身につきました」
一方で、勤務先の社内では「転職するなら30歳まで」との空気が色濃かったという。入社して5年が過ぎた頃、素村氏も次のステップを考えることになる。営業経験を積んだとはいえ、「その会社固有のノウハウも多く、転職する際の武器になるとは思えなかった」そう。
「長い将来を考えるなら手に職をつけたほうがいい。あれこれ悩むうちに思い出したのが、大学時代に諦めた会計士の資格取得です。仕事が忙しい時、1日12時間くらい必死で働いていたことを思えば、同じ時間試験のための勉強に向き合うのは苦にならない。もう一度チャレンジしてみようと」
自動車部品メーカーを退職したのは2012年5月。合格後の就職の都合も考えて、東京に転居。アルバイトをしながら予備校に通った。結果、1年後に見事合格を果たしている。
「私の場合、〝働きながら〟勉強するより、勉強一本に絞って一気に勝負をかけるのが性に合っていたのだと思います。年齢的に体力・気力が充実していたこともよかった。断念せずに勉強を続けられました」
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仰星監査法人シニアマネージャー素村 康一
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