事務所探訪
監査法人コスモス
1988年に名古屋で創業し、現在は東京オフィスとの両輪で業務に臨む監査法人コスモス。監査業務、コンサルティング業務を提供しつつ、2014年からは中小・中堅企業の上場支援にも注力。フォーカスするのは、東京証券取引所の市場「TOKYO PRO Market」だ。市場に上場する49社のうち10社を担当し(21年8月末現在)、さらに40社以上の上場準備支援に取り組んでいる。同法人統括代表社員の新開智之氏にその狙いを聞いた。
「監査法人として組織づくりを進める中、同じく統括代表社員を務める富田昌樹らと話し合いながら、コスモスならではの経営理念を固めました。そこで定まったのが『中小・中堅企業の成長、事業承継に貢献していく』というミッションです。中小企業は日本の企業の99・7%を占め、労働人口の7割をカバーする存在ですが、近年、経営者の高齢化が進み、後継者不足に悩む企業も増えています。中小企業が強くならなければ地域経済も日本経済も強くなっていかない。私たちはそう考え、中小・中堅企業の上場準備や事業承継の支援に注力してきました」
中小企業の上場準備支援に強みを持つコスモスは、監査業界でも稀少な存在だ。上場に際しては、監査に耐えうる経理基盤の整備、さらには内部統制やコンプライアンスの徹底も求められる。TOKYO PRO Marketは上場を目指す中小・中堅企業が経営を洗練させ、足腰の強い経営を身につける実践の場ともいるだろう。
「この市場は監査事務所のメンバーがスキルを磨き、知見を積み重ねていくフィールドでもあります。中小・中堅企業の支援に注力すると、成長意欲のある企業が全国から集まってきます。クライアントの上場を支援することで、知見と情報をさらに蓄積できる。その集積をフルに生かした情報発信やコンサルティングも視野に入ります。理想的な循環が生まれつつありますね」
これまでの上場支援では、多くの時間とコストをかけながら、上場に至らない企業も少なくなかった。その点、TOKYO PRO Marketはスピード感が圧倒的に違う。コスモスが支援する中小企業の中には半年、1年というスケジュールで上場に至った企業もある。
短期間で上場を実現し、クライアントと成果を共有する。伴走を続けつつ、さらに上の市場へステップアップしていくこともできる。一連の支援をとおしてメンバーも大きなやりがい、達成感を感じることができるのだ。近年は、中小企業の支援にコミットしたいという熱意を持ってコスモスの門を叩く中途入社人材も増えてきた。
「私たちは『人を大切にする監査法人』として、経営方針に『メンバーの健全な心・技・体の成長を育む』というポリシーを掲げています。会計人として専門性を突き詰めていくのは当然、中堅・中小企業や日本経済に貢献していきたいという思い、そして健全に業務に臨める心身を持ってほしい。スキル、マインドをバランスよく伸ばしていける法人へ――組織づくり、仕組み化に腐心する日々です」
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監査法人コスモス統括代表社員 公認会計士 新開智之
1992年、岐阜大学教育学部生物地学科卒業。94年、公認会計士第二次試験合格後、監査法人コスモス入所。98年、公認会計士登録。2004年、パートナー就任。07年、代表社員就任。19年、統括代表社員就任。20年、太平洋工業株式会社監査役就任(現任)。