事務所探訪
公認会計士山内真理事務所
設立以来、会計・税務・財務などの経営支援をとおして、アート、カルチャー分野を下支えする同事務所。代表の山内真理氏が、明確なビジョンのもと、運営してきた。
「大学でマーケティング、ブランディングを学び、クリエイターやアーティストが創造性を社会にどのようにインストールしていくかに興味を抱くようになりました。クリエイティブなどの無形物の活用やマネジメントは難しいといわれますが、だったら、そこに自分の専門である会計知識を生かせないかと考えたのです」
アーティスト、クリエイターたちの多くは、経営や税務に関して学ぶ機会を持たないまま、プロフェッショナルとして文化流通の現場に立たされている。適正価格を考える会計力、交渉力を高めなければ文化の流通は促進しない。そんな思いから、クリエイティブと会計をブリッジする存在を目指した。
山内氏は有限責任監査法人トーマツの出身。4年半の在籍後に独立を果たした。
「独立志向の強い人が集まる監査法人です。私も独立を見据えて法定監査やIPO支援に従事しました。適度な規模で、しかも成長しているベンチャー企業を見ることができ、財務の役割、会計の意味を体感することができました」
個人としてスタートしたが、独立直後から依頼は引きも切らなかった。アーティスト、クリエイターが会計分野に求めるニーズを肌で体感する。
「創作の現場では経営や会計や財務を学ぶ機会が少なく、会計の専門性を生かした経営支援が求められています。しかし、そこで専門家に頼っても会計の情報提供にとどまり、その先のアドバイス、専門家との有益なコミュニケーションがない。文化・芸術の現場にはそんなストレスがあったのです」
現場で威力を発揮したのは、会計の数字の意味を丁寧に翻訳し、わかりやすい言葉で説明できるスキルだった。
「私たちは〝言葉〞をすごく大事にしてきた事務所です。会計の枠組みがないだけで、エッセンスをお伝えしたらお客さまはきちんと理解してくれます。潜在的なニーズに応えて経営支援を提供することで、顧問先は自然に増えていきました」
この記事の続きを閲覧するには、ご登録 [無料] が必要です。
公認会計士山内真理事務所山内 真理
2003年、一橋大学経済学部卒業。06年、有限責任監査法人トーマツに入所し、法定監査、IPO支援などに従事する。11年、アートやカルチャーを専門領域とする会計事務所・公認会計士山内真理事務所を設立。Arts and Law代表理事(共同代表)、特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会監事など。公認会計士、税理士。