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「変革の時代だからこそ、監査人としての気概、泥臭さみたいなものは、改めて重要だと思う」
公認会計士浜田康事務所
浜田 康
会計士の肖像
太陽有限責任監査法人
総括代表社員 CEO山田 茂善
山田茂善が太陽監査法人(当時)の大阪事務所に入所したのは1988年、33歳の時だ。この頃、事務所に在籍していた公認会計士は2名、山田自身も「非常勤として仕事を手伝う」くらいの感覚でスタートしたという。それから約35年の歳月を経た現在、同法人は会計士数、被監査会社数ともに1000を超える“準大手”トップとなり、山田はその頂に立っている。本人にとっても想像を超えたキャリアではないだろうか。目指してきたのは規模の大きさではない。クオリティの高さと人材育成を希求してきた山田の本質的なマネジメントと、会計士としての強い使命感が今日を形成したのである。
生まれ育ったのは大阪の福島区で、親父は従業員20人くらいの小さな町工場を、お袋はその安定を支えるためにアパート経営をしていました。いわゆる“商人の子”ですよ。早くから商売に触れてきたし、ことお袋から教わったことは多いですね。なかでも「人に頭を下げるのはタダ、笑顔もタダ。これをフル活用できるかどうかで、ビジネスは大きく違ってくる」という教えは、今も染み着いています。
やんちゃでね、小学校ではいつも叱られてばかりいたんですよ。節目になったのは、ノリで立候補した生徒会会長に当選し、中学受験を意識して塾に通い始めた5年生の3学期あたり。受験を決めた動機は単純で、当時の福島区の公立中学校は皆丸刈りにさせられていたから(笑)。姉に「丸刈りにしなくていいし、私服通学だよ」と勧められたのが同志社でした。受験準備としては遅かったけれど、塾との相性がよかったのか、だんだん成績が上がって勉強が面白くなってきた。で、無事合格となり、以降は大学まで受験に苦しむことなく、同志社で学生生活を存分にエンジョイしたというわけです。
中学ではラグビー部に入って走り回っていたのですが、対抗試合で体のごついヤツにタックルされて腰を傷めてしまい、高校からは少林寺拳法に切り換えました。まちの道場に通い、3年の時に2段、黒帯を取ったんですよ。たぶん、当時の最年少だったと思います。あまり真面目な生徒ではなかったけれど、同志社は一定の成績さえ取っていればうるさくなかったから、自由だったし、本当に楽しかったですね。
「どの学部に行くか」は成績次第で、当時の同志社大学は経・商・法の順だったらしい。「授業はけっこうさぼっていた」と言いつつも、成績のよかった山田は経済学部に進学。それは自身の意向でもあった。聞けば、高校生の頃から“資金運用”をしていたという型破りなエピソードがあり、それが伏線になっている。
高1の時ですよ。親父に「お前に500万円預けるから、それを運用して大学までの授業料を賄え」と言われまして。あとは出さないと。親父に紹介してもらった証券会社で株の運用を始め、ビギナーズラックがあったり、甘い話はないと思い知ったり、まぁ鍛えられましたよね。振り返ると、この頃に財務諸表を見るようになったわけです。もちろん売掛金も買掛金もわからず深い見方などできませんでしたが、興味を持ったのは確かで、それもあって経済学部を選んだのです。
大学には少林寺拳法部があり、すでに有段者である私は勧誘を受けたのですが、胴着を持って闊歩するのはもう違うなぁと思うようになっていたから、一転、入ったのは軟弱なゴルフ同好会。のんびり気ままに遊ぶ日々で、恥ずかしながら一般教養で簿記の単位を落としたり(笑)。将来の職業イメージもなく、はっきりしていたのは、自分はサラリーマンには向かないということぐらいですかね。
ある意味転機になったのは、4年で大学を卒業できなくなったこと。いつも単位はギリギリだったのですが、最後にこれを取れば“上がり”だったはずの科目試験を受けられなかったんですよ。その科目の先生が留学する都合で繰り上げ試験になっていたらしく、 要は、授業に出ていない私はそれを知らなかった。時すでに遅し。ショックでしたねぇ。それも主要科目ではなく「京都の郷土と歴史」という、えらく地味な科目で卒業できないとは(笑)。
呆然としていた頃、たまたま本屋さんで手にしたのが公認会計士試験の合格者談をまとめた本でした。それまで会計士と税理士の区別もついていなかったのですが、「なるほど、こういう資格なのか」と。さらに、体験談を語る合格者のなかにゴルフ同好会の先輩がいて、「彼が合格するなら、俺にもできるだろう」と思ったのです。「会計士を目指すから留年する」。親にそう言いましてね、この段階では、半ば留年の理由付けとして会計士試験に目が向いたというのが正直なところです。
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太陽有限責任監査法人総括代表社員 CEO山田 茂善