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「真のグローバルエクセレントカンパニーになるために経理から経営を支える」
日本たばこ産業株式会社 経理部

経理・財務最前線
株式会社キングジム 経理部
1927年に創業した株式会社キングジム。累計6億冊を販売した「キングファイル」などを主力とする老舗文具メーカーとして知られる一方、現在はM&Aで拡大するライフスタイル用品事業も柱に据え、海外の生産・販売拠点を通じてグローバル展開を進めている。
事業部門は、ラベルライターの「テプラ」や、文章入力に特化したデジタルメモ「ポメラ」など、ユーザビリティを追求しつつ、独創的な製品を開発し続けてきた。その挑戦に伴走する経理部は、財務数値の分析・管理を通じて、戦略判断を支える。
「大企業は決算業務などに特化した専任チームを設けるのが一般的ですが、当社は中堅規模の企業として、経理人材の一人ひとりが多岐にわたる業務を担当する必要があります。業務を通じてスキルと経験の幅を広げることができ、若手のうちから会社全体の動きや経営に直結する視点を養えるのが特徴です」
こう語るのは、バックオフィスを統括する管理本部長兼CFOの原田伸一氏。経理部は15名の陣容で、経理一課が債務管理や連結決算、二課が債権管理や資金・税務対応などを担当。部としては銀行対応やIR、M&Aの財務判断も手がける機能横断型の組織だ。
「経理財務の最前線に立つ組織として、経営判断を後押しする〝オンタイムな情報提供〟を意識しています」と、原田氏は強調した。月次・四半期・年次といった決算対応はもちろん、業績予測に変動が生じた際には、速やかに情報を整理し、経営層への報告を行う。メンバーは経営企画部や事業部門とも密接に連携しながら、正確かつタイムリーに、経営判断に資する情報を提供している。
IRや資本コストに対する意識も高く、PBR1・0倍の継続的な維持・向上を目指した施策の設計を経理部が主導。M&Aにおいても、財務面からの実行判断に深く関与し、社内外の意思決定を後押ししている。
「数字の精度だけでなく、その背景にある意味や意図を読み解き、伝える力が、これからの経理には欠かせません。変化の激しい時代だからこそ、より深く経営に資する視点が求められているのです」
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取締役 専務執行役員管理本部長兼CFO原田 伸一
1984年、早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2008年、三菱東京UFJ銀行(中国)上海支店副支店長、11年、同行ドイツ総支配人などを経て、14年、株式会社キングジム顧問、同年、取締役就任。23年より現職。海外事業本部長、海外販売系子会社担当も兼務。