The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社エディオン
常務取締役管理本部長 兼 財務経理統括部長麻田 祐司
ニッポンの最高財務責任者=CFOの人物像を紹介していく本連載9回目にご登場願ったのは、エディオンの麻田祐司氏である。監査法人で企業コンサルタント業務を兼務した後、グループの税理士法人に転籍。その知識と経験を生かし、M&Aで急成長した家電量販店グループの経営陣に。そんな麻田氏の“キャリアストーリー”を聞いた。
麻田氏が会計士を志したのは、高校時代のこと。
「手にした職業紹介雑誌に『会計士は数字を扱うプロ』という記事を見つけたのです。雇われの会社員ではなく、何かしらのプロになりたかったし、数学も得意だった。これだ、と」
大学2年の終わり頃から徐々に勉強を始め、大学卒業後は受験だけに専念し、1997年に二次試験に合格、監査法人トーマツに入所する。見事に夢を叶えたわけだが、「監査がどんな仕事なのかはまったく知らなかった」麻田青年に、いきなり試練が降りかかる。
「最初に担当したのが、ことさら監査を嫌がる会社だったんですよ。作業のためにあてがわれたのが、普段は“たばこ部屋”として使われているスペースだったり(笑)。同じ仕事をするなら、目の前の人に喜んでもらえることをしたいじゃないですか。1週間で、自分には向いてないと感じました」
悩んだ末、麻田氏はマネジメントコンサルティング部への“異動”を志願、2年目からは監査と兼務することに。
「その部署では、企業に対して原価計算の導入、管理会計の再構築、在庫管理制度の導入といった様々な支援を行いました。監査の時とは大違いで、クライアントが頼りにしてくれた。ある会社に行ったら、担当者の机の上に『トーマツ麻田』と書かれたファイルを見つけたんですよ。みんなが僕の渡した資料を特別にファイリングしてくれていた。あれは嬉しかったなあ」
まさに水を得た魚だったのだが、企業に深く入れば入るほど、ある問題を強く意識するようになった。
「お客さまは『会計士なんだから、当然、税務にも詳しいはず』と、相談されるわけです。“本物のプロ”としてやっていくためには、税務のスキルが不可欠だな、と痛感しました」
そこで三次試験合格にメドが立った2000年、麻田氏は、税理士法人トーマツに転籍する。
「初めは個人の確定申告や歯科医院の記帳代行とか、これまた前職とは違う仕事。でもいい経験になりました」
時あたかも、組織再編税制や連結納税制度がスタート。その波も、麻田氏は見逃さなかった。
「例えばM&Aをしようとしたら、スキームの組み方で課税額が大きく変わってくる。そんなのにかかわれたら、と思ったのです。でもそういう案件って、東京に集中しているわけですよ」
意を決して願い出た東京への“出向”は、「2年ぐらい」を期限に認められた。それが麻田氏にとって人生の一大転機となる。
東京に移り、担当した企業の一社が、当時、東京・品川に本社を構えていたエディオン。売上高は4000億円で、今の約半分。旺盛なM&Aで業界大手に上り詰めていくステージの、まさにとば口にあった。そんな同社の久保允誉社長に、「うちに来てくれないか」と声をかけられたのである。
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株式会社エディオン常務取締役管理本部長 兼 財務経理統括部長麻田 祐司
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