The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社Birdman
取締役CFO兼CHRO三橋 秀一
監査法人、コンサルティング会社を経てリクルートへ。事業会社2社でIPOを経験し、CFOや事業管掌取締役の経験から、2020年には自らも起業した。「自身の積み上げてきた経験から、様々な会社や人に貢献したい」。その言葉どおり三橋秀一氏は、仕事から得た自身の経験を、グロービス・マネジメントスクール講師、中央大学特別講師、Webメディア執筆などを通じて広く伝えている。
長く続く農家の家系に長男として生まれた三橋氏。公務員の父が、祖父の代からの土地を相続するにあたり、税理士とのやりとりに苦労する姿を間近で見ていた。「苦労する父の姿は将来の自分の姿だ、と思いました」。税理士をマネジメントできるようにならないと、将来、同じ苦労を繰り返してしまう。
「調べてみたら、会計士になれば税理士登録もできることがわかった。ただし、私は監査や税務をずっとやりたいとは思いませんでした。どの会社でも通用する専門性を持った経営人材になり、幸せになる人を増やしたい。一方で祖父母も父母も本当に大事に育ててくれたので、長男の責任として実家も守らなければならない。そのような背景から、大学1年生から会計士を目指しました」
キャリアを考えるうえで大事なのは“逆算思考”だと三橋氏は言う。将来どう生きていきたいのか考え、ベストな環境を探すこと。有限責任監査法人トーマツを選んだことにも理由がある。
「4年程度で辞めることを前提として、会計士として一番早く成長できる監査法人を選びました。今もトーマツに入所してよかったと感謝しています」
トーマツ退所後は、HSKコンサルティングへ。「顧客の側に立って貢献したい」「若いうちから責任ある立場で仕事をしたい」「M&A、コンサル、税務を経験したい」と考えた。
HSKでの担当業務は、国内M&A業務、ベトナム企業のM&A業務、財務省への出向など。さらに、経営者と接するなかで経営について広く学ぶ必要性を感じ、早稲田ビジネススクールでMBAを取得。自分が目指すのはCFOだと気づいたのもこの頃だ。
印象に残っているのはベトナムでのM&A案件だ。国そのものが急成長する姿を肌で感じたことで「次は事業会社の立場で、アジア企業のM&Aにかかわりたい」と考えるようになった。その視点で機会を探し、入社したのがリクルート。アジア子会社の経営支援、インド、香港、中国企業のM&AからPMIなどを経験した。
「将来CFOを目指すうえで、M&Aの検討段階からPMIまでを経験しておきたかった。なぜならこれは事業会社の側でしか経験できないと考えたからです。リクルートでは、他社では得られない機会をいただけたことを感謝しています」
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株式会社Birdman取締役CFO兼CHRO三橋 秀一