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「会計は経営を語るうえでの〝共通言語〟であると認識し、USCPA取得を目指した」
日野自動車株式会社 戦略機能
清水 和希

米国公認会計士が活躍する場所
日野自動車株式会社 戦略機能
清水 和希
――大学では外国語を学び、日野自動車に入社後は、フィリピン駐在を経験されています。もともと海外に関心が?
清水そうですね。大学入学時点ではそれほど海外志向が強くなかったのですが、在学中に経験した、カナダでのワーキングホリデーが転機になりました。自分は主に英語を学ぶための留学でしたが、他国から働くためにカナダに来ている仲間も多かったんです。彼らと交流するうちに、いつか自分も海外で仕事がしたい、特に「新興国のために何かできないか」と考えるようになりました。
就職活動では、総合商社や国際協力機構(JICA)などを中心に回りました。ちなみに、自動車メーカーは日野自動車しか選考を受けていません。日野自動車はトラックやバスなど新興国では重要な社会インフラとなる車種を扱う会社であり、そうした国々の発展に貢献できると考えました。
――会計を学ぼうと思ったのはいつですか?
清水入社して4年目以降、フィリピンに駐在していた頃です。入社後の3年間は、国内の海外営業部門に在籍していました。オーストラリアやニュージーランドにある代理店とともに事業計画を立てたり、価格決めをしたりと、日本から海外のビジネスを運営する部門でした。この頃はまだ、仕事上の財務資料を読むことはあっても、会計を積極的に学ぼうとは思っていなかったのです。
でも、フィリピンに駐在中、営業アドバイザーとして、現地の販売店の経営者たちと日常的にコミュニケーションを取る機会があったんです。その時に痛感したのが、英語は話せても、資金繰りなど経営にかかわる話をする際の〝共通言語〟が自分には不足しているということ。経営を学ぶための手段として、会計に注目しました。
――実際に会計の勉強を始めたのはいつですか?
清水帰国後に、国内営業の仕事をしている時です。最初は日本の公認会計士資格を目指すつもりで、試験科目の一部免除が受けられる会計専門職大学院に入学しました。ただ、働きながらその勉強をするのはやはり時間的に厳しくて。
そんな時に、大学院の方からUSCPAを勧められました。USCPAなら1科目ずつ試験が受けられ、働きながらの資格取得に適していますし、英語力も生かせると感じました。
――とはいえ、資格取得と仕事の両立は大変だったのでは?
清水はい。コロナ禍でオンライン授業が増えたため通学の負担は軽くなりましたが、それでも時間の使い方は工夫しました。夜間に大学院の授業を受講しながら、平日の朝6時から8時までを勉強に充てたり、昼間の移動中や出張中にテキストやノートを読むなど、細切れの時間を活用したりしました。
なんとか2年間の修士期間中に合格できましたが、1回の試験で受からなかった科目もあり、その時は諦めそうになりました。1科目ずつ受けられるとはいえ、一定期間が過ぎるとほかの科目の合格実績が失効してしまうんです。でも周囲に「大学院に通っている」ことを伝えていましたし、大学院には一緒にUSCPAの取得を目指している仲間もいました。そうした周囲の目を監視役にして(笑)、勉強を続けていきました。
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