事務所探訪
株式会社エスホールディングス
「会計監査において公認会計士は審判の立場。ジャッジはするけど、プレーはしない。しかし、審判がどこを見ているのかを正確に認識してゲームを組み立てられるチーム、すなわち企業は意外に少ない。だったら、ジャッジできる人間がフィールドに出て、パスもドリブルもしたらいいのです」
同社代表取締役社長の須原伸太郎氏は自らの起業に込めた思いをサッカーに例えてそう語る。設立は、1999年。須原氏と同じトーマツ出身の佐藤英志取締役と共同で創業したのが始まりだ。「二人とも、将来は独立したいという夢を持っていて、考え方を共有できる部分が多かった」という。
自社の各事業部門を独立させ、子会社化して持ち株会社に移行したのは、2008年4月のこと。今やスタッフは約100名。そのうち、試験合格者を含む公認会計士は40名を数え、税理士や社会保険労務士資格を有する社員も多い。同様に業容も拡大し、コンサルティング事業とインベストメント事業を2本柱に躍進を続けている。
「ただし、投資にはどうしてもリスクが伴います。コンサルティングでしっかり利益を確保しつつ横展開していくというのが、今の経営の基本姿勢です」
だが、冒頭で説明したとおり、“フィールド”に出た社員の仕事は、財務・経理にとどまらない。実際のプレーヤーに語ってもらおう。
子会社・株式会社エスネットワークスの経営支援事業部に所属する北川雄也氏は、07年に入社後すぐ、ある企業に常駐し、まず経理の仕事に携わる。転機が訪れたのは2年目のことだ。
「再生案件に取り組んでいた顧客が、案件終了後も私を残し、トップの意思決定について意見を求めていただけるようになったのです。そこで鍛えられた結果、経営コンサルティングを依頼してくれる顧客が1社、また1社と増えていきました」
会計士資格も、ものを言った。
「みなさん、入社間もない私を『こいつは会計士なんだ』という目で見てくれるんです。で、会計士なら何でも知っているだろうと、専門外のことまでどんどん聞かれる(笑)。だから、必死で勉強せざるを得ませんでした。会計士資格というのは、自らを成長させるうえでとても重要なカードだったのだと、実感しています」
そんな北川氏の夢は、「起業して経営者になること」という。実は同グループは、「経営者を輩出する」ことを企業理念に掲げているのだ。
この記事の続きを閲覧するには、ご登録 [無料] が必要です。