The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
バリュークリエーション株式会社
執行役員 経営企画部和田 晃一
バリュークリエーション株式会社は、マーケティングDXと、住宅解体業者とユーザーのマッチングプラットフォーム「解体の窓口」など不動産DXの2事業を主な柱とする。2023年11月に東証グロース市場に新規上場を果たした。同社のCFOを務めるのはトーマツ出身の和田晃一氏。だが、公認会計士のキャリアをスタートさせるまで、幾分〝回り道〟をしている。
大学は商学部の会計学科。国税専門官だった父にも熱心にすすめられた。それでも「公認会計士になるつもりはまったくなかった」と和田氏は言う。気づけばサークル活動に熱中し、ゼミ仲間が会計士を目指すなか、自分だけ銀行に就職した。ところが、この銀行も10カ月で退職してしまう。
「若かったのだと思います。決まった手順で決まった用紙に決まったことを記入するような仕事が肌に合いませんでした。それに銀行は分業制が進み〝組織の歯車〟感が強かった。私は一人で仕事をしていけるような力を身につけて、誰にも縛られない生き方がしたかったんです。となると、あらためて会計士はいい資格だなと思いました。独立もできる、コンサルにもなれる、いろんな選択肢を持てますから」
退職後は実家に戻り、会計士試験の受験勉強を開始。それから3年半「日曜以外すべて、1日10時間」を勉強に費やし、合格を果たした。ところが今度は時勢が悪かった。リーマンショックに端を発する不況で、試験に合格しても監査法人に就職できない会計士があふれた時代だ。和田氏も大手・中堅監査法人の採用試験は全滅。税理士法人山田&パートナーズの内定が出た時は、安堵から「泣きながら内定を受諾しました」と語る。
山田&パートナーズでは約2年半の間に、各種税務申告や相続税・事業承継コンサル、財務デューデリジェンスなどを経験した。部署として会計士が採用されたのは初めてのこと。その恩に報いたかったと和田氏は言う。専門家として「課題を調べて、解を見つけて回答・提案するという仕事の基礎」を身につけたのがこの頃だ。
やがて転機が訪れる。経理アドバイザーとして出向した会社で、監査法人対応をする機会があった。
「監査法人の会計士が、ものすごくかっこよく見えました。それまで私は業務上会計基準をしっかり見ることがなかったのですが、その会計士は『会計基準にこうあるからこう対応するべきです』と的確にアドバイスしていた。会計士としての専門性という点で、自分との差を感じたのです」
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バリュークリエーション株式会社執行役員 経営企画部和田 晃一
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