会計業界の起業人
清和監査法人
シニアパートナー筧 悦生
監査法人らしからぬことを考え、実行しよう。そんな発想で業務に取り組み、急成長中の監査法人がある。清和監査法人だ。すでに事務所の陣容は90名を超え、上場クライアント数で業界10位に入った。この監査法人を創業したのが、筧氏である。
「とはいえ、昔から会計を志していたわけではないんです。学生時代は、そのほとんどの時間を体育会アーチェリー部の活動に費やしていましたし。ところが、就職活動の時期を迎え、ふと思ったのです。『体育会の仲間と同じような大手企業に就職して、私は彼らに勝つことができるのだろうか』と。それで、自分も人に負けないものを得ようと、大学院へ進学。ゼミの先生が会計士だったこともあり、資格取得を考えるようになったのです」
そして、ここから筧氏の挑戦が始まる。公認会計士二次試験には大学院を修了した26歳で合格。その翌年に、KPMGセンチュリー監査法人(現新日本監査法人)に入所した。
「当時は、大手酒造メーカーの監査業務に従事。古きよき時代というか、その頃は、クライアントと一緒に飲みに行くことも多くてね。仕事は楽しかったのですが、毎日、酒飲んでいたらおかしくなるんじゃないかと。それで、独立したらお金持ちになれると思って、あっさり退職してしまったんです」
だが、バブル崩壊のつめ跡は想像以上に深く、景気は一向に上向かない。しかも致命的だったのは、独立ノウハウを全く持っていないことだった。結局、筧氏は丁稚覚悟で個人事務所に転職。年収は半分以下の300万円に下がったが、税務についての実務経験を積みながら、会計事務所の運営ノウハウを習得。早期の独立を自分に課した。
「そこでは、大組織の中では気付けなかった経営の難しさを教わりました。それで、まずは顧問先を確保するため、監査法人時代の上司に相談。すると、株式公開を目指すベンチャー企業を紹介されたのです。
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清和監査法人シニアパートナー筧 悦生
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