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最新号

Accountant's magazine vol.76

-アカウンタンツマガジン-
2025年01月01日発行

会計士の肖像

「世界で日本の存在感が問われている。若い人たちにも躊躇せず、グローバルな場に乗り込んできてほしい」

国際会計士連盟(IFAC)
理事觀 恒平

会計士の肖像

会計士の道へ導いてくれた、専門学校の学院長の熱血指導

「相手の国や人を理解し、そして好きになること」。2020年から国際会計士連盟(IFAC)のボードメンバーを務める觀恒平は、グローバルで働く〝極意〟を端的に語る。若い世代が、ともすれば海外に出るのを躊躇する傾向があるのは、会計士業界も例外ではない。「その壁を越えてチャレンジすれば、必ず自らの糧になる」と話す觀の国際感覚は、若き日にインドを放浪し、外資系監査法人でヨーロッパ、アメリカに赴任して直面した数々の経験に磨かれたものだった。

1960年に福井市で生まれました。実家は、通っていた小学校のすぐ近くにあって、その学校の裏手が100mくらいの山になっていてね。子供の頃は、よくそこで遊んでいました。とにかく〝田舎〟で、夜、小川に餌を仕掛けておくと、翌朝フナのような小魚がたくさん獲れたり、秋になると赤とんぼの群れが飛び交ったり。そんな環境で育ちました。

当時の男子小学生のなりたい職業といえば、野球選手。高学年になると、昼間は野球をやり、夜はプロ野球中継を観て寝る、というのが日課のようなものでした。でも、冬は雪が降って外で遊べないので、もっぱら卓球をやっていました。その流れで、中学では卓球部に。そんなに強い学校ではなかったけれど、新しくできた友達と毎日汗を流すのは、楽しかったですね。

高校に進学すると、同級生に中学時代の県大会で活躍していた他校の選手が、何人かいました。彼らがやるというので、「じゃあ」という感じで、高校でも卓球を続けることにしたのです。

入学した県立藤島高校は、福井ではトップクラスの進学校でした。でも、私自身は、勉強が大好きというタイプではなかった。特に歴史や地理など、「とにかく暗記」というのが苦手で。どちらかというと理系かな、と3年の時の進路選択ではそちらを選びましたが、それも、「文系を選ぶと理系にチェンジするのは難しい」と先生に言われたから。大学で何を学んで、将来どうしたい、みたいなビジョンは、まったくありませんでした。ちなみに公認会計士なんて、名前も知らなかった(笑)。

当時、国立大学の入試は一期校と二期校に分かれていて、両方を受けることができました。それで、一期校は理系、受からなかったら二期校は文系、と決めて受験したんですよ。

そうした経緯で、78年、觀は横浜国立大学経営学部に入学する。経営学部を選んだのには、文系の中でも、得意な数学が生かせる学部なのではないか、という理由があった。しかし、初めて会計の授業を受けた感想は、「なんで〝帳面つけ〟みたいな簿記をやらなければならないのか……」。意欲を失った觀は、同級生に〝代返〟を頼んで授業をサボタージュし、住んでいた下宿から夜な夜な友人と飲みに出かける生活に。ただ、さすがに「このままでいいのか」と思い始めたところに、転機は意外なかたちで訪れる。

夏休みに実家に帰った時に、自動車免許を取ろうと教習所に通ったのです。そこで、学年が1つか2つ上の早稲田大学の学生とよく顔を合わせるようになって、その人が「僕は会計の勉強をしているんだ」と言うわけです。その話を聞いているうちに、大学の授業とはずいぶん違うな、と興味がわいてきて。1回やってみようか、くらいの気持ちで、会計士試験の専門学校に通ってみることにしました。

その学校は信濃町にありまして、学院長という40歳くらいの人が、竹刀片手に、いきなり「お前らみたいに大学に行って、のほほんとしているやつらは、ダメなんだ」と(笑)。言うことは過激でしたが、けっこう面白い人で、食指の動かない簿記も「騙されたと思って、やってみろ」と。毎日、わら半紙に記帳させて、「左右の数字は合ってるか?」の繰り返し。「合うに決まってるじゃないですか」と言うと、すごく怒って、「それを肌で感じるようになるのが大事なんだ」って。でも、そこで経済学や商法なども学んでいるうちに、「頑張って会計士の資格を取ろう」という気持ちになっていきました。勉強が面白くなったのと同時に、考えてみると、大学を卒業して一般の企業に就職する、というのがぜんぜんピンとこなかったのです。

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Profile

国際会計士連盟(IFAC) 理事 觀 恒平

国際会計士連盟(IFAC)理事觀 恒平

1960年3月7日
福井県福井市生まれ
1982年10月
公認会計士第二次試験合格
1983年3月
横浜国立大学経営学部卒業
1986年9月
公認会計士登録
1987年4月
監査法人三田会計社
(現有限責任監査法人トーマツ) 入所
1998年6月
監査法人トーマツ
(現有限責任監査法人トーマツ)
社員(パートナー)
2013年11月
デロイトトーマツグループおよび
有限責任監査法人トーマツボードメンバー
2015年11月
有限責任監査法人トーマツ包括代表
2018年6月
デロイトトーマツ合同会社
シニアアドバイザー
2018年9月
デロイト アジアパシフィック リミテッド
監査保証業務リーダー
2020年1月
デロイト アジアパシフィック リミテッド
シニアアドバイザー
2020年10月
觀恒平公認会計士事務所開設(現任)
2020年11月
国際会計士連盟(IFAC)理事(現任)
2022年1月
日本公認会計士協会シニアアドバイザー(現任)
2022年6月
オリンパス株式会社社外取締役(現任)

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