公認会計士「研修出向制度」体験者リポート
株式会社GSユアサ 理財部
株式会社ジーエス・ユアサ アカウンティングサービス 税務グループ廣瀬 文子
大学を出てから監査法人に入るまで、かなり時間がありますね。
廣瀬実は会計士試験の勉強を一度やめて、非上場の会社の経理をやっていました。でもやはり資格を取りたいと思い、再チャレンジしました。実際にやってみると、監査の仕事をとても面白く感じました。会社の経理にいてもアクセスできない情報に触れることができるし、ロジックを組み立てて一つひとつ立証していくという仕事は水が合いました。3年目の終わり頃から主査を務めさせていただき、自分がミスしたら大変なことになるんだ、という責任感も含め、大きなやりがいを感じて働いてました。
それなのに出向に手を挙げたのは、なぜですか?
廣瀬ちょっと話が長くなるんですけど(笑)。主査で担当していた企業が、ある時、米国の企業を買収しました。その際、会計士の習いでノレンの金額とか見積もり税効果だとかにまず頭がいって、そうした切り口をメインに、経理の方と話をしていたのです。ところが、企業が最優先に考えていたのはキャッシュアウトがどれくらいになるのか、ということ。経理が気になるのは、税務的な問題でした。でも、米国の税務のことを聞かれてもチンプンカンプン。ある意味、担当企業に育ててもらっているのに、いざという時お役に立てないというのは、ショックでもあり、屈辱も感じました。そして、法人内のローテーションでその企業の担当を離れることになったのを機に、今後のためにちょっと別の経験をしてみるいいチャンスかなと思い、いろいろな道を探し始めていたのです。ちょうどそのタイミングでこの制度を知り、応募することにしました。
GSユアサグループでは、税務を担当なさっていますね。会計士にとっては“苦手”なところだと思いますが。
廣瀬ただ、まさにそこを経験したいと思っていましたから、私にとっては“渡りに船”でした。今、移転価格税制に関するプロジェクトにもかかわっているのですが、先ほどお話しした法人時代の担当企業が、ちょうどその文書化を始めていたんですね。それで税務部門の方と仕事もし、社内の研修なども参加させてもらっていたので、知識がゼロというわけではありませんでした。そういう点も、とてもラッキーだったと思っています。
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株式会社GSユアサ 理財部株式会社ジーエス・ユアサ アカウンティングサービス 税務グループ廣瀬 文子
株式会社GSユアサ取締役 理財部長
この研修出向制度で2011年から毎年1人ずつ会計士に来てもらい、廣瀬さんで3人目。現場でそのスキルを発揮して経理業務の改善に直接力を発揮してもらいたいというのはもちろん、それだけではなく若手が増えた職場で本当のプロの仕事を見せてほしい、という狙いがあった。経理は単に数字をまとめて終わりではなく、それをどう生かすかというステップこそ重要である。そのためには、メンバー一人ひとりが“一流”の経理パースンでないと困る。そのお手本として彼らは最適だと思ったのだが、目論見は当たり、周囲は大いに刺激を受けている。
廣瀬さんには、税務の仕事をお願いしたいという条件で来てもらった。ルーティンワークのほか、どの会社も頭を悩ます移転価格税制について取り組んでもらっている。入社8カ月ほどではあるが、非常に力になってくれており、頼もしいばかりだ。