The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
スター・マイカ株式会社
取締役管理本部長兼経営企画室長日浦 正貴
ニッポンの最高財務責任者=CFOの人物像を紹介していく新連載「The CFO」。そのトップバッターは、監査法人から社員6人のベンチャー企業・スター・マイカに身を転じ、CFOの重責を担いながら、1年5カ月という短期間で株式上場に導いた日浦正貴氏である。そんな氏から、リアルなキャリア・ストーリーを聞いた。
日浦氏が公認会計士を志したのは、高校3年の時。「人とは違う、専門性の高いことがやりたかった」と言うのだが、そういう仕事ならほかにもある。
「実家が自営業で、小切手の数字を刻印するチェックライターが普通に置いてあるわけです。子供心にカッコよくてね。ガチャガチャ動かしているのを見ると、お金をつくっているみたいでしょう。そんな環境で育つうちに、自然とお金そのものにひかれるようになった。金持ちになりたいわけではなくて、お金って何者なのかを探求したいという思いと言ったらいいかな。高3の時に公認会計士という資格を初めて知ってすぐに目指そうと決めたのは、それがあったからだと思います」
決意が本物だった証拠に、専門学校の授業料を捻出する目的でバイトを始める。「大学1年までに50万円ぐらいためて、卒業までに資格を取得というハッピーシナリオ」を描いて。しかし、現実は甘くはなかった。大学3年での初挑戦は実らず、満を持した翌年も、よもやの不合格……。
「同級生はみんな就職が決まり、卒業旅行を心待ちにしているというのに。つらく悔しく情けなかった。恥ずかしながら、そうなって初めて、自分の能力へのうぬぼれに気づいたんです。頭のどこかに『これだけやればなんとかなる』という、甘い気持ちがあった」
そう悟った日浦氏は、今度はそれこそ死ぬ気で勉強し、翌1997年10月、念願を果たす。
「でもねえ、“現役”で合格しなくてよかったと、負け惜しみでなく思うんですよ。すんなりいっていたら、鼻高々の嫌なやつになってたでしょう、きっと(笑)。何ごとにも本気の努力が必要だ、必死でやれば報われる。あの5年間が私に教えてくれたのです」
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スター・マイカ株式会社取締役管理本部長兼経営企画室長日浦 正貴