公認会計士「研修出向制度」体験者リポート
富士重工業株式会社
財務管理部高橋 正嗣
はじめに、公認会計士を目指した経緯をお教えください。
高橋大学に入学してすぐ、簿記の3級、2級を取得する課外授業を履修しました。就職に役立ちそうとの考えからです。そうしたら、大学のほうから「授業料を負担する制度があるから、専門学校に通って公認会計士資格を取得してみないか?」と。その時初めて公認会計士の存在を知りました。1年間ほど専門学校に通い、その後も毎日13時間ぐらい勉強して4年の11月に一発で第二次試験に合格しました。
すごい勉強ぶりですね。
高橋お金を出してもらうからには真剣にやらないと申し訳ないというプレッシャーがありました。通学する電車の中でも電卓叩いていましたね(笑)。
新日本監査法人ではどんな業務を担当していたのでしょうか?
高橋当時J-SOX法が成立したばかりで、新日本にも情報システム監査の部署ができ、そこに在籍となって内部統制の業務が6割ぐらいを占めました。会計士資格取得で勉強してきた知識が生かせることがほとんどないので初めはつらかったですが、情報システムに詳しい上司に学びつつスキルを身につけていったという感じです。今からすれば、会計士はシステムに弱い人が多いので、真っ先にシステム監査にかかわれたのはよかったと思っています。それ以外に、3社の主要クライアントの監査業務も担当しました。
出向制度に手を挙げたのは?
高橋今回の研修出向制度ができたことを知り、すぐ手を挙げました。3年目ぐらいから監査業務が増え始めて、当時は7割ぐらいを占めていました。その頃感じていたのは、監査業務を4年経験してだいたいの流れがわかり、監査はでき上がっている数字をチェックする仕事であって、これから先も同じことの繰り返しであるということ。もっと新しいことを経験してみたい、事業会社に出向して数字をつくる仕事にかかわりたいと。単に数字をチェックするだけなら、極論するとビジネスのことを知らなくてもできる。そうではなく、数字の裏にあるビジネスの本質についても理解したいと思ったわけです。
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富士重工業株式会社財務管理部高橋 正嗣
富士重工業株式会社財務管理部長
今、財務管理部の課題は大きく2つある。1つは、グローバル化を進めるにあたり、それを支えるスタッフが昔ながらの要素を残している点。特に、IFRSへの移行もにらんで、海外と直接コミュニケーションできる人材を育成する必要がある。もう1つは、社内全体の経理スキルの向上。そういった諸問題を改善していくうえでも、高橋君には大いに期待している。彼の活躍を見て、昨年の7月にもう1名出向者を受け入れたが、社内でたった二人しかいない公認会計士の専門知識を享受できるメリットは大きい。
また、この二人のプロフェッショナルの存在は、社内の、特に同年代の社員にいい刺激を与えていると思う。事業会社での経理業務経験がないうえに、人から先生と呼ばれることが多い会計士を迎え入れるに際して、組織マネジメント上の心配もあったが、実際はまったく問題ない。この3年間を有意義に使って、素晴らしい公認会計士に育ってほしい。