新天地から
ソフトバンク株式会社
経理部 管理会計グループグループマネージャー森川 浩
日本を代表する事業家、孫正義氏が率いるソフトバンク。 2010年3月期の連結売上高は2兆7634億円、グループ従業員数約2万人。携帯電話事業を筆頭に、ダイナミックな経営を展開中だ。そして、貪欲な成長を続ける同社に異業種から転職し、会計面から成長を支え続けるのが森川浩氏。 東京ガスから転じた異色の経歴の持ち主である。
東京大学工学部で都市工学を学んだ。大学院を出ると、東京ガスに就職。温水ボイラーや空調設備などの大型ガス設備の技術営業を担当し、それなりの充実感を得ていた。満足いく会社に就職できたと思っていた。だが、心の奥底に潜んでいたものが顔をのぞかせたのは、入社2年目の正月。高校時代の友人たちと酒を酌み交わした時だ。
「そのうちの一人が、前年の秋に公認会計士二次試験に合格し、監査法人で働き始めたというのです。まだ入社間もないというのに、自分がいかにお客さまから喜ばれ、醍醐味ある仕事をしているのか、熱く語るわけです。このときハッと気づきました。私は彼のように生き生きと仕事を語れるかと」
今の仕事に自分の人生をかけて打ち込んでいるのか、と自らに問うた。同時に、初めて耳にした「公認会計士」の仕事に興味を持った。だが、その道を目指すにはそれなりの覚悟が必要だ。たとえ、試験に合格できたとしても、会計の仕事が自分の性に合うか。森川氏は自問自答を繰り返した。
「それでもやっぱりやってみたいと思いました。試しに少し勉強してみると、ビジネス誌を愛読していた父親と一緒に、興味深くページをめくる子供の頃の自分を、経済や経営に関心を持っていた自分を思い出したんです」
こうして会計士になることを決意した森川氏の挑戦が始まった。受験のための勉強は、週に50時間。休日はもちろん、毎朝4時には起床して、仕事以外の時間を勉強のために費やした。
「もし合格できなかったら、という不安もありました。夜中に不安で、不安で、たまらなくなり、気づいたら涙が流れていたなんてこともあります」
そしてもう一つ、森川氏が不安に思っていたことがある。仮に試験に合格しても、当時は社内にFA制度がなく、営業から経理への異動はかなわないとわかっていた。そんな時、専門学校で学んだ同士が、ソフトバンクで会計人材を募集していることを教えてくれた。
合格しようがしまいが、会計の道で生きていくと決めていた。ならば、できるだけ早く――。ソフトバンクの話は願ってもないチャンスだと思った。
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