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「東急連結グループの多様なビジネスに伴走しながら、最適な経理体制を実現する」
東急ファイナンスアンドアカウンティング株式会社
経理・財務最前線
昭和電工株式会社財務・経理部
石油化学、化学品、ハードディスク、アルミ、黒鉛電極、セラミックスなど、幅広い事業で社会を支える昭和電工株式会社。財務・経理部はその屋台骨だ。財務、経理、IRの3つの機能があり、経理機能は、会計・税務グループ、出納グループ、各事業部を担当する事業部経理グループが担う。なかでもメンバー数が多い会計・税務グループでは、決算業務や全社的な計数管理、予算である実行計画の立案とモニタリング、そして税務申告などを行う。
事業のグローバル展開を踏まえて、国際税務のガバナンス、移転価格税制への対応にも力を入れている。
「同じグループの中に会計をする人間もいれば税務をする人間もいる。制度会計もあれば管理会計もある。様々な経験を積める環境であるのが特徴だといえます」と財務・経理部長の中野知久氏は話す。
同部のミッションについて尋ねると、中野氏は「そんなの当然だろうと言われてしまうかもしれませんが」と前置きしたうえで次のように語った。
「まずは適正な会計税務処理を行い、適正な開示をすることです。昭和電工のグループの連結子会社は国内外に62社(うち海外43社)あります。昭和電工グループ全体にコンプライアンスを徹底し、一つの方針のもと決算をまとめることは容易なことではありません。当然ですが、不適切な開示をしようものならステークホルダーの信頼を失ってしまいますから」
もちろん、時代に応じて移り変わるミッションもある。
2000年代前半までは、会計ビッグバンといわれる制度改正への対応が、00年代後半は内部統制制度への対応が喫緊の課題だった。
「00年代の制度改正対応は終わりましたが、収益認識の会計基準対応など、課題はまだまだあります」
近年の同社は、成長戦略の一環として、M&Aを時期を的確にとらえて行う方針を打ち出している。17年10月には、ドイツのSGL Carbon社が持つ黒鉛電極事業を買収した。こうした案件が動く前後には、経理にも会計・税務に関して提言が求められているという。
そして、もう一つは管理会計だ。対外的な情報開示が制度会計だとするなら、管理会計は内部向け、経営判断に役立てるための会計だ。こちらは同社の戦略企画部との協働により進められている。
そこで事業部損益を細かく把握し、KPIを定めて四半期ごとにモニタリングできる仕組みをつくった。これがあれば、事業部は数字をもとに次の打ち手を考えられるというわけだ。
「適正な開示という根本のミッションを怠ることなく、強化するために経理から具体的な提言をしていく。これが現在のミッションということになります」
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財務・経理部長中野 知久
なかの・ともひさ/1983年、早稲田大学商学部卒業後、昭光通商入社。経理部財務課に配属される。85年、昭和ファイナンスに出向。86年、昭和電工に入社、92年、同財務部。94年、同経理部。2004年、同ビジネス・サポートセンター経理グループ会計・税務チーム・リーダーに。15年3月より同財務・経理部の経理担当部長、18年1月より財務・経理部長を務める。