熱き会計人の転機
株式会社ナック
経理部 経理会計室室長 公認会計士井伊 祐史
公認会計士を目指した経緯を教えてください。
井伊大学の専攻は建築でしたが、企業経営にかかわる数字にも興味があって、自主的にビジネス系のセミナーに参加するなどしていました。卒業後は大手ゼネコンに入社し、主に施工管理の仕事に従事。ただ、もっと経営に近い仕事をしたいという思いがふくらみ、5年目に公認会計士資格への挑戦を決意します。建築の道には望んで入ったので、まだキャリア半ばと迷いましたが、後悔したくないと思い切って退職しました。退路を断って資格試験の勉強に専念しようと考えたのです。
得意だったホームページ制作のアルバイトを時々やりながら専門学校で学び、短答式試験に合格後三優監査法人に入所、監査業務に従事しながら勉強し、翌年論文式試験に合格しました。中堅の三優を選んだのは、事業会社で働いた5年のブランクがあったので、より短期間で様々な業務を経験する必要があると考えたからです。多くの会計士が所属する大手だと、最初はできることが限られてしまうことを懸念しました。三優でお世話になった約5年は、その狙いどおり幅広い業種の企業、業務を経験できましたね。
その後、事業会社に転じた経緯を教えてください。
井伊企業活動の成果である数字に触れられる監査の仕事はもちろん面白かったのですが、徐々に企業の側に立ち、この数字を自分でつくってみたいと思うようになったのです。建築にしろ、ホームページにしろ、自ら何かを構築することが好きだったということも関係しているのかもしれません。
転職活動を始めると、積算業務を手がける新部門の立ち上げ要員を求めていて、かつ建築の知識が生かせる建設会社を紹介されました。そこで1年間、新部署立ち上げに携わった後、今のナックに再び転職しました。前職の新規事業立ち上げもやりがいある仕事でしたが、経理や会計の業務で自分の能力を生かしたいと思ったからです。
当社はグループ会社含め、ダストコントロール商品や宅配水「クリクラ」、建築コンサルティング、注文住宅、化粧品通販など多角的な事業を展開しています。これまで監査法人や事業会社で様々な企業を見てきた経験を生かしながら幅広い事業を見られるチャンスがあること、ある程度の裁量権もあるちょうどいい企業規模であることが決め手となりました。
現在の担当業務は?
井伊経理部経理会計室の室長として、8名のメンバーとともに、当社の経理業務全般とグループ会社の経理のチェックを行っています。また、当社は活発にM&Aを行っており、買収企業のデューデリジェンスのチェックや、買収後の連結運用方針の策定などのミッションもあります。ただ受け身的に実務をこなすのではなく、グループ全体の経理処理がよりスムーズに行えるよう、我々のほうから事業部やグループ会社に積極的なアドバイスをすることをモットーにしています。
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株式会社ナック経理部 経理会計室室長 公認会計士井伊 祐史
株式会社ナック経理部
私は、グループ会社から現在の部署に移りましたが、その時すでに井伊はここで働いていました。実は当初、監査法人出身ということで堅い人物なのかなというイメージを持っていました。また、監査法人の常識をそのまま事業会社に持ち込まれると難しいと気になっていたのですが、その点はまったくの杞憂に終わりました。聞けば、彼は大学卒業後にゼネコンの施工管理を経験していたとのこと。多くの職人さんたちを動かすマネジメントをしていたこともあり、コミュニケーション能力は想像以上。経理部のメンバーとの意思疎通に配慮しながら業務を推進してくれるなど、当部のナンバーツーとして、組織運営を安心して任せることができています。
当社グループは多様な事業を手がけており、今なおM&Aを積極的に行っています。連結子会社も多く、我々経理部のカバーする業務範囲は非常に幅広い。しかも、当部は経営企画や経営戦略の一翼を担うことを期待されているため、一般的な経理部を大きく超えたミッションがあります。井伊は、会計や税務に関する知識は十分ですので、今後はさらに現場経験を積み、将来、当社の経営層の一員になるべく成長を続けてほしいと願っています。