The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
Recovery International株式会社
経営管理部取締役 CFO柴田 旬也
Recovery International (リカバリーインターナショナル)株式会社は、2022年2月に上場した注目企業だ。「もう一人のあたたかい家族」を理念とし、訪問看護サービスに取り組んでいる。同社のCFOは、大手監査法人出身の柴田旬也氏。入社後半年で管理部の3分の1が退職するという苦難を乗り越え、IPOを成功に導いた。
大学時代のこと。「将来は経営者になる」と公言する友人が周囲にたくさんいました。「でも、僕はあまりやりたいことがなくて(笑)。親も普通の会社員でしたし」。自然と経営者を支える公認会計士の仕事に目が向いた。
「難関の国家資格と聞いていたので、『大学3年までに卒業できる単位を取れたら』『簿記2級を独学で取れたら』会計士を目指すという条件を自分に課すことに。結果、条件をクリアした大学4年次から専門学校に通い、2年後に合格したという流れです」
入所したあずさ監査法人(当時)では国際部に所属。外資系企業のリファード業務や国内上場企業の監査を担当した。「試験勉強中は監査の仕事がうまくイメージできなかった」と言う柴田氏。しかし3年もすると監査業務に慣れ、停滞感を抱くようになる。会計士登録をしたタイミングで独立も考えたが、この時は「20代にしては恵まれた環境・収入を捨てたくない」と思い法人に残る選択をしている。そんな折、新規クライアント獲得のための営業活動およびIPOサポート業務のポジションを社内公募するメールが届いた。
「実は、IPOは避けて通りたい業務でした。IPOを目指す会社はまだ体制が整っておらず、資料を求めてもなかなか出てこない。上場企業の監査に比べて、IPOを担当すると仕事が終わる時間が予測できず深夜残業が多い、というイメージでしたから。興味を惹かれたのは営業活動のほうです。いつか独立するためにも仕事を獲得する営業力を身につけておきたかった。営業したい会計士なんて珍しいはず。応募するとすんなり異動が決まりました」
すると予想外のことが起きた。あれだけ敬遠していたIPOサポート業務が面白いのだ。上場企業の法定監査に比べてスタートアップの経営陣との距離感が近く、ともに事業を育てる喜びと苦労を分かち合うこともできた。
「そうしてクライアントと仲良くなると“助けたい”気持ちが湧いてくる。IPOがうまくいけば『あなたのおかげ』と感謝される。そのやりがいは監査業務では実感できないものでした。そのうちに、社外から支援するのではなく、自分もスタートアップの“中の人”として働いてみたい、今度はその会社をIPOさせてみたい、という思いが強くなっていきました」
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Recovery International株式会社経営管理部取締役 CFO柴田 旬也