事務所探訪
東京共同会計事務所
東京共同会計事務所が扱う事業は、現在4カテゴリにまたがっている。「ストラクチャード・ファイナンス」は、SPC(不動産の証券化)や投資ファンドなどに対して税務・会計上のアドバイスを行うもの。近年では太陽光、水力、バイオマス発電など再生可能エネルギー関連のプロジェクトについてのファイナンスも担う。「コーポレート・ファイナンス」は、M&Aや事業再生、事業再編ほか、企業評価やデューデリジェンスなどを手がける。事業承継対策や相続対策を柱とするのは「ウェルス・マネジメント」。内山隆太郎代表によれば「顧客の資産規模が大きく、かつ国際関係業務に強いのは他のファームに見られない特徴」。そして「国際税務」は、企業の海外進出支援や移転価格、間接税などを扱う。
1993年の開業以来、SPCを活用した資産証券化ビジネスで急成長を遂げた。今や専門特化をモットーとする同社の戦略分野の多くでは、サービス内容、またクライアント規模ともにBig4に引けを取らない。
「依然、SPC業務のボリュームが大きいものの、今後は4つの事業をバランスよく伸ばしていく計画です。一つの強みを持つことも個性ですが、複数のサービスがクロスオーバーしていないと仕事にならないのが時代の流れだという認識があるので」
Big4など、大手会計事務所との対比は、内山氏自身も意識するところ。仕事の進め方一つとってもそうだ。案件ごとに異なる専門性を持ったメンバーでチームを組み、分業するのが大手では一般的。ところが同社では、主軸となる人間が全体を俯瞰して業務を行う。「要は、一人が会計も税務もデューデリジェンスも全部やるということです」と内山氏。
「分業すると、時に誰の意見を尊重すべきか見えなくなることがあります。それなら、一人の担当者のなかにいろんな知識を詰め込んだほうが、相対的にお客さまの満足度は高くなるはずです。働く側にとっては疑いなくチャレンジングな環境だと思います。でも案外、適応できるものなのですよ。最初から100点を狙おうとすると大変でも、一定のレベルまでは早く到達できる。頑張っていればお客さまも応援してくださいますし、失敗したとしても早めに次善の策を打つことができればOK。背伸びしているうちに、どんどん成長していきます」
内山氏は、そんな社員たちを「ピン芸人集団」と評する。社員一人ひとりが自身の力を頼りに“売れっ子”を目指していくというわけだ。
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東京共同会計事務所内山 隆太郎
慶應義塾大学経済学部在学中に、公認会計士二次試験合格。1987年、中央監査法人入所。89年、公認会計士登録。90年、中央クーパース・アンド・ライブランド国際税務事務所入所。91年、同事務所マネジャーに。93年、税理士登録、東京共同会計事務所を設立し、共同パートナーとなり、その後、代表パートナーを務める。2013年、同事務所は開業20周年を迎えた。
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