- vol.83
-
「進化を続けるベトナムに対応。"成長の先"を見据えたI-GLOCALグループの挑戦」
I-GLOCALグループ 会長 蕪木 優典
I-GLOCALグループ マネージングパートナー チャン・グエン・チュン

特別対談企画
I-GLOCALグループ 会長蕪木 優典
I-GLOCALグループ マネージングパートナーチャン・グエン・チュン

人口が1億人を突破した今も年6〜7%の高成長を続けるベトナムだが、税務会計の現場は大きな改正期を迎えているという。そこで、20年超にわたって日系企業のベトナム進出や税務会計業務を支援し続けているI‒GLOCALグループの蕪木優典会長とチャン・グエン・チュン氏に、ベトナムビジネスの可能性とI‒GLOCALの進化について語り合ってもらった。
ベトナム経済は今も成長し続けています。GDP成長率はコロナ禍の後も6〜7%台を維持していて、ASEANでも屈指のペースを誇るほどです。その原動力となる人口は約1億人と東南アジアで3位、中位年齢はおよそ33歳で、働き盛りが分厚いという特徴があり、中国からの生産移管、いわゆるチャイナプラスワンの受け皿としても最大級で、〝世界の工場〟として大型投資が続いています。しかも、近年は所得の上昇とともに、〝つくる国〟から〝消費する国〟へと軸足が移りつつあります。
チュンそうですね。私たちベトナム人の実感からしても、この30年の変化は本当に大きいです。1986年のドイモイ(刷新)政策で市場経済に舵を切ってから、GDPはドイモイ前の10倍以上になりました。制度が新しく、しがらみが少ない分、変化のスピードも速く、いわゆる〝リープフロッグ現象〟が様々な分野で生じています。
お客さまの業種にも変化が生じており、最近は外食産業など以前では考えられなかった業種が増加傾向にあります。若い労働力、拡大する内需、自由貿易協定などを生かした輸出ハブとしての機能――これだけの条件が揃っている国はきわめて珍しいのではないでしょうか。
蕪木特にこの数年は税務会計などの制度が大きく変わってきているように感じていますが、その点についてはどうですか。
チュン会計基準に関しても、2024年の改正会計法などを経て、今はIFRSへ近づく方向に動き出しています。税制も24〜25年にかけてCIT(法人税)、VAT(付加価値税)、PIT(個人所得税)が相次いで改正されました。
こうした変化に加え、日本と制度が異なる部分にも注意が必要です。例えばVATは還付の考え方こそ日本の消費税と同じですが、実務では「繰越控除が原則」で、還付は一定の要件を満たす場合のみ実施できる申請制となっています。しかも還付には税務調査が伴い、南部では入金までに数年かかることもあるので、「申請すれば自動で還付される」という前提で資金計画を組むことに注意が必要です。
蕪木税務行政のデジタル化も急速に進んでいますよね。
チュン電子インボイスはすでに全面義務化され、一定規模の事業者はレジ連動で売上がリアルタイムに当局へ送信される仕組みですし、税務申告は完全にオンラインとなっています。また、こうした税務行政のデジタル化によって、税務調査の頻度や件数も増加傾向にあります。〝新しく始めた国〟だからこそ、紙や押印にとらわれずに一気にデジタル化を進めることができているのだと思います。
この記事の続きを閲覧するには、ご登録 [無料] が必要です。
I-GLOCALグループ 会長 蕪木 優典
慶應義塾大学経済学部卒業。1996年、朝日監査法人(現・有限責任あずさ監査法人)に入所し、99年にアーサー・アンダーセンベトナム(現・K P M Gベトナム)に出向。2000年に日本人で初めてベトナム公認会計士試験に合格し、ベトナム公認会計士登録。03年にベトナム初の日系資本会計事務所(現・I-GLOCALグループ)を創業。著書に『加速経済ベトナム 日本企業が続々と躍進する最高のフロンティア』(東洋経済新報社)など。
I-GLOCALグループ マネージングパートナー チャン・グエン・チュン
2000年に国費留学生として日本に留学。大阪大学大学院情報科学研究科を修了後、エンジニアとして日本の大手SIベンダーに入社。ベトナムに帰国後、09年にI-GLOCALに入社し、日系企業のベトナム進出支援を含め、各種業務構築コンサルティングに従事。20年からI-G L O C A Lの100%子会社で、給与計算代行業務・労務管理システム開発などを手がけるVINA PAYROLL OUTSOURCINGCO.,LTD.を立ち上げて代表を兼任。