事務所探訪
金子総合会計事務所
活気ある東京・広尾商店街の一角にオフィスを構える金子総合会計事務所。代表を務めるのは大手建設会社から監査法人を経て独立開業した金子哲也氏。製造業をはじめ幅広い業種の中小企業約350社にサービスを提供しており、プロアスリートやクリエイター、タレント、文化人などの個人事業主にもネットワークを広げている。しかし、M&Aや相続対策、開業支援といった特定の領域で専門性を高めてきたわけではない。集客も広告やWebブランディングに頼らず、リファーラルが主体だ。急激な支持拡大の理由はどこにあるのか。金子氏に尋ねた。
「メンバーは常に会計のスキルや税務の知識に磨きをかけてきましたが、そこのみにとどまらないのが当事務所の強みです。経理業務の代行、人事労務や総務のサポートに至るまで、バックオフィスを丸ごとアウトソーシングいただける体制が整っています。クライアントがどのような支援を求めているのかを速やかに把握し、最適なサービスを先んじて提供していく。それが私たちの身上なのです」
会計業界にもオンライン対応が浸透しているが、金子氏は顔を突き合わせたコミュニケーションに重きを置く。それは顧客との対話をとおして現場の課題を見いだしてきたからだ。
「スモールビジネスの経営者が困っているのは、資金繰りや税務対策ばかりではありません。自身のタックスプランニングを含め、会社と個人の両方の数字を見てほしい。そんなニーズがあります。私たちは『会計事務所だから、ここまでしかできません』と言いたくない。金子の事務所に聞けば、困り事は何とかなる――そう思ってもらえる会計事務所を目指してきました。クライアントからいただくのはサービスの対価ではなく、感謝の対価だと考えています」
記帳代行や税務アドバイザリーはもちろん、一歩踏み込んだサービスを提供する。資金調達を支えたり、法人口座開設をサポートしたり、時には顧客同士をマッチングさせ、新しい事業の展開を提案することも。金子氏自身、アパレル事業を手がけ、複数の企業で役員を務めるなど、会計事務所代表という立場を超え、マルチな活躍を見せる。自由闊達な経営スタイルは、金子氏自身のキャリアから導き出されたものだ。
「監査法人や、その後に籍を置いた個人会計事務所では、『これはうちの仕事じゃない』と、業務を絞り込んで高度なサービスを提供する傾向がありました。専門性を高めるのも大切ですが、顧客の真の課題解決に、さらに踏み込めないか? そう考え、独立を決めたのです」
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金子総合会計事務所事務所代表 公認会計士・税理士金子 哲也
1999年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、大手建設会社入社。2004年、公認会計士第二次試験合格後、現E Y新日本有限責任監査法人入所。08年、同法人退所。12年、代々木総合会計事務所を設立、代表就任。15年、事務所を渋谷区広尾に移転、金子総合会計事務所に改称。同事務所の運営のほか、複数のビジネスを展開する起業家でもある。