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最新号

Accountant's magazine vol.83

-アカウンタンツマガジン-
2026年10月01日発行

会計士の肖像

「今、時代が求めているのは真のプロフェッショナル。付加価値を提供し、その先に何かを生み出す力である」

EY新日本有限責任監査法人
理事長松村 洋季

会計士の肖像

進路変更を経て、大学4年時に公認会計士試験に合格

2025年、EY新日本有限責任監査法人の理事長に就任した松村洋季は、現在、未来に向けた組織づくりと人材育成に全力を傾けている。聞けば、「入所した時は3年で辞めるつもりだった」というから、松村自身も描いていなかった一つの着地点である。監査、IPO支援、会計や内部統制関連のアドバイザリーなどといった幅広い業務経験を重ねるなか、松村は仕事に魅力を見いだし、プロフェッショナリズムを磨いてきた。自ら考え、動き、キャリアを切り開いてこその〝現在地〟だ。

父は公認会計士、母方の祖父は税理士。年の離れた兄と姉もこの業界なので、いわゆる専門家の家系です。末っ子だった私は、物心ついた頃から大人の会話を耳にしていたせいか、わりに早熟でした。聞いた話によると、3歳の時、テレビで報じられたニクソン・ショックに反応し、親に「アメリカが大変なことになっている!」と言って驚かせたことがあったそうです。また、幼稚園では、排水溝に浮かぶ葉っぱが回っている様子を見つめながら、「どうして葉っぱはクルクル回るの?」と聞いて先生を困らせたとか(笑)。ちょっと変わった子というか、今にすると、事象に対する探究心が強かったんでしょうね。

その意味では、6年間を過ごした麻布中学・高校はとても肌に合っていました。中学に入学した時の担任の言葉は、今でもよく覚えています。「本日より、皆さんは〝自由の刑〟に処せられる。すべて自分で責任を持って行動してください」。つまり、何かをしろとはいっさい言わないから、自分で考え、好きに行動しなさいと。物事を命じられたほうが人間はラクなので、責任が伴う自由って実は大変ですが、「中1なのに大人として扱われるんだ」と感じて、私には心地よかった。実際、本当に自由で、この6年間は伸び伸びと過ごすことができました。

私は理系で、特に生物が得意科目だったので部活もずっと生物部。実験室にこもるというより、山登りをして自然や動植物と触れ合うのを大事にする部活で、とても楽しかったんですよ。それもあって、将来は医者か生物化学の研究者になりたいと考えていました。例えば、老化の仕組みを突き詰めたいとか……探究心が強いのは変わらずで、志向していたのはアカデミックな世界。私が高校生の頃には兄も会計士になっていたから、職業に対する意識はありましたが、まったく興味がなかったというのが正直なところです。

志向のまま複数の大学受験に臨んだ松村は、医科大学にも合格。意向が叶って、当然進学するつもりだったが……話はここで変わる。先にその大学に入学していた麻布高校の先輩から大学生活の様子を聞くなかで、「自分には合わないんじゃないか」と感じた松村は、進学を取りやめにし、別の進路を取ったのである。

話を聞くと少し窮屈そうで、描いていたイメージとは違ったのです。根が自由人ですから、私には無理だろうと。それで、別途合格していた早稲田大学の政経に行くと言い出したものだから、父が激怒しましてね。「それなら学費は出さない」って。そうした状況で出てきたのが資格取得。会計士でも弁護士でもいいから、「資格試験を目指すなら学費を出してやってもいい」というディールがあったわけです(笑)。理系ですから会計士のほうを選び、「目指します」と。それで話がつきました。ただ、この段になっても会計士になるつもりはなくて、私にすれば、学費を出してもらうための方便だったんですよ。

そんな具合だから、入学してすぐに手続きした専門学校に行ったのは最初の1クールだけ。あとは通っているフリをして、テニスサークルで活動したり、遊んだり。怠惰な生活を送っていました。でも、2年生になる前の春休みに入った頃、それが耐えられなくなった。自分は何をやっているんだろう。無目的なまま4年間を過ごすのかと。

そんな春休みに、置きっぱなしだった専門学校の経済学のテキストを何となく手に取ってみると、これがわかりやすくて、一気に読み切ってしまった。「経済って面白い」。そう気づいて、ちゃんと勉強してみようと思ったのです。ここから専門学校に復帰し、会計士試験に向けての準備を始めました。

私には従前の〝麻布式〟が染みついていて、丸暗記したものには価値がないと思っていたから、合格するまでノートは取らない、極力暗記もしないという妙なこだわりがあって……。模試はよかったものの、3年で初めて受けた試験には落ちてしまった。それで自分なりに分析し、地道な勉強もして、4年時の再チャレンジで合格することができました。親との約束は、一応果たせたわけです。

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Profile

EY新日本有限責任監査法人 理事長 松村 洋季

EY新日本有限責任監査法人理事長松村 洋季

1968年7月8日
東京都生まれ
1991年10月
公認会計士
第二次試験合格
1992年3月
早稲田大学
政治経済学部卒業
1992年4月
太田昭和監査法人
(現EY新日本有限責任監査法人)入所
2001年4月
EY London駐在( ~04年9月)
2014年7月
EY Japan BMC(Brand, Marketing and Communi-cations)リーダー就任
2016年3月
経営専務理事人材開発本部長、
EY Japanタレント・リーダー就任
2019年7月
経営専務理事金融事業部長、
EY Japan金融サービス・リーダー就任
2025年7月
EY新日本有限責任監査法人理事長就任

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