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「東急連結グループの多様なビジネスに伴走しながら、最適な経理体制を実現する」
東急ファイナンスアンドアカウンティング株式会社
経理・財務最前線
応用地質株式会社 事務本部 経理部
1957年に設立された応用地質株式会社は、日本における「地質調査」のリーディングカンパニーだ。道路や橋梁、ダム、堤防等のインフラ構造物建設時の地盤調査、点検業務にノウハウやデータを蓄積し、強靭・安全なまちづくりに貢献している。さらに、防災・減災や環境、エネルギーといった周辺領域にも事業を拡大してきた。現在は東証プライムに上場。国内外に30の関係会社をネットワークし、事業を拡大し続けている。
経理部は18名の陣容で、単体・連結決算や税務申告、有価証券報告書などの作成、財務業務を担当している。同社ならではの経理業務について、経理部長の大倉康宏氏が解説する。
「中心になるのは、業務の進捗度合いに応じて収益と原価を計上するいわゆる〝工事進行基準〟です。この基準に特化したクラウドシステムを導入し、受注情報から原価予測までを一元管理。効率的な処理が実現しました。この仕組みにより、プロジェクトの数字の将来予測がしやすくなっています」
工事進行基準をベースに、事業部と本社部門が一体となって数字をつくる。これが応用地質の成長を支える原動力の一つとなっている。
「見積原価を設定し、プロジェクトの進捗に応じて仕入、経費や勤怠情報を入力していくと、原価に対応した売上がタイムリーに計算されるフローが構築できています。事業部の技術者と力を合わせ、プロジェクト単位で原価データをつくるのです。私たちは10年以上の歳月をかけ、この進行基準ベースの仕組みを深化させてきました。先を読んだ経営に資することができているという実感があります」
同社は地質工学をはじめとする基礎技術によってソリューションを開発し、地中などの〝見えざる領域〟を可視化してきた。経営においても、全社一丸となって先を読むフォーメーションが組み上がっている。月次決算で最新の数字を可視化する経理部は、司令塔として経営全体を俯瞰する存在といえる。システムを活用した仕組み化も一段落した現在、グループ内への浸透が視野に入る。
「これまで、主にM&Aによって国内外のグループ会社を増やしてきました。そこで課題になるのが、経理財務の統合プロセスです。グループ会社にも工事進行基準を浸透させながら、共通の仕組みを実装していかなければなりません。経理部のメンバーがフロントに立ち、統合作業を進めています」
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事務本部副本部長 兼経理部長大倉 康宏
1994年、一橋大学商学部経営学科卒業。97年、応用地質株式会社入社。事務本部経理部にて連結決算、税務申告等一連の決算業務を担当。2004年、米国統括会社OYO Corporation U.S.A.に赴任。Controllerとしてロサンゼルスに駐在し、米国子会社グループの連結決算、連結納税、財務管理を担当。11年帰国、事務本部経理部復帰。18年事務本部経理部長、23年より現職。