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Accountant's magazine vol.39

-アカウンタンツマガジン-
2016年12月01日発行

会計士の肖像

「自分をリスペクトできるかどうか、この問いは、非常に大切である。我々は、直接社会のために仕事をしているのだから」

日本公認会計士協会
前会長(現相談役)森 公高

会計士の肖像

文武両道。多彩に、そして自由に好きなことを楽しむ

「自由業に就きたい」と選んだ道、公認会計士という職業は、森公高の天職となった。30年以上に及んだ監査法人での仕事を通じて得たやりがい、学びは、森を大きく成長させ、そして56歳になる2013年には、日本公認会計士協会会長に就任。歴代においては異例の若さであったが、任期中は、とりわけ監査の信頼性確保に注力し、公的分野の会計制度見直しや国際関係など、多くの重要課題に取り組んできた。「直接社会のために仕事をする会計、監査というものは、社会インフラそのもの」、そして「信頼性のある情報こそが経済の活力を生む」と明言する森の胸には、会計士としてのプロフェッショナリズムが強く刻まれている

祖父の代までは旅館を営む商売の家系だったのですが、なぜか両親は畑違いで、ともに小学校の先生をしていました。とはいえ、父は音楽の先生だったので、勉強のことでうるさく言われたことはないですね。それに二男ですから、厳しく育てられた兄とは違って、ほったらかし(笑)。小さい頃から野球に夢中になり、私はいつも走り回っている暴れん坊でした。周囲から「ハリケーン」と呼ばれるくらいに。

兄に倣う格好で、私も中学受験をし、慶應義塾の中等部に進学して以降は、ずっとエスカレーター式です。いわゆる受験勉強というか、根をつめる勉強ってしたことがないんですよ。振り返れば、受験を早くに済ませたことはよかった。目前の勉強に追われないから時間的な余力を持てるし、慶應には、スポーツでも勉強でも、偏らずに何でも自由にさせてくれる文化があるので、一貫していい学生生活を送れたと思っています。

得意だったのは球技で、中学では卓球部のキャプテンを務め、高校では団体でインターハイまで行ったんですよ。もっとも、オリンピックを目指すような人たちとはレベルが違うわけだし、きつい練習もいい加減つらくなってきたので、その後はテニスやスキーに夢中になりました。父の影響もあったのか、音楽、特にクラシックにもハマったりと、好きなことを自由にやっていましたね。

そんな調子で、勉強にはあまり興味がなかったのですが、数学とか科学は得意で、試験でもけっこう高い点数を取っていました。パズルのように答えを解いていくプロセス、論理的な思考が性に合っていたのでしょう。基本の考え方は何なのか、本質は何なのか、それが大事だという感覚は、ずっと変わっていない気がします。

慶應義塾大学に進学した段階では、具体的な職業イメージはなかった。ただ、大手金融会社に勤めていた兄の様子は、森には少々窮屈に映ったらしく、就職を意識し始めた頃、「仕事するなら自由にやりたい」と考えるようになった。長らく、会計士試験合格者数トップを維持している慶應の環境も相まって、森は、自然に会計士という職業に目を向けるようになる。そして、わずか1年足らずの受験勉強で、在学中に“現役合格”を果たしたのである。

通常ならば3年生からゼミに所属するところ、私は2年の時から、経済発展論や経済統計学を専門とする鳥居泰彦先生のゼミに入ったんです。科学研究費の助成を受けて調査事業を進めていたタイミングで、ゼミの学生がその手伝いをしており、2年生を縁故募集していたものですから。例えば、韓国の資本の蓄積と人口移動などについて徹底的な調査をするんですけど、やってみると、どうにも地味すぎて、私には面白くなかった。指示されたことを、ただ言われたとおりにこなすというのも、つまらない。私は学者志向ではなかったし、何かもっと自由にできる仕事に就きたいなぁと。

周りには、士業を目指す学生がけっこういて、彼らと話しているなかから浮上したのが会計士。「自由業で独り立ちできる。これはよさそうだ」と、試験にチャレンジすることにしたのです。受験仲間に比べると遅まきで、勉強を始めたのは3年になってから。それが運よく、1回の受験で翌年に合格しちゃったものだから、周りからは恨まれましたよ(笑)。

慶應には、いわゆる受験サークルがないので、専門学校に通いまして。今はもうありませんが、「TOP」という受験学校です。評判を聞いてみたところ、ここは受験対策に重きを置くのではなく、基本になる理論をきちんと教える学校だと知り、自分には合っていると思ったんです。理解を伴わない暗記的な勉強法は、どうも好きじゃないので。結果的に、基本を学んだことが受験にもよかったように思います。それと、我々の時代は今ほど企業会計ルールが膨大ではなかった。今の受験生のほうが大変ですよ。なかには、合格してから仕事を通じて覚えればいいこともあるのに……。やはり考え方の基本であったり、何をどう捉えれば最終結論までもっていけるか、そういうことを早くに学ぶことのほうが大事ではないかと、私は思うんですけどね。

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Profile

日本公認会計士協会 前会長(現相談役) 森 公高

日本公認会計士協会前会長(現相談役)森 公高

1957年6月30日
川崎市川崎区生まれ
1979年9月
公認会計士第二次試験合格
1980年3月
慶應義塾大学経済学部卒業
1980年4月
新和監査法人
(現有限責任あずさ監査法人)入所
1983年8月
公認会計士登録
2001年7月
日本公認会計士協会常務理事
2004年6月
同法人金融本部長
2005年4月
金融庁意見申出審理会委員
2010年4月
文部科学省学校法人
設置審議会臨時委員
2010年7月
日本公認会計士協会副会長
2011年7月
同法人KPMGフィナンシャル
サービス・ジャパン チェアマン
2012年4月
金融庁金融審議会専門委員
日本銀行金融機構局審理会委員
2013年7月
公益財団法人財務会計
基準機構理事(現評議会議長)
日本公認会計士協会会長
(現相談役)

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