熱き会計人の転機
一般社団法人 全会連 代表理事/株式会社DADA 執行役員CFO
山本 健太郎
公認会計士を志したきっかけを教えてください。
山本大学入学後すぐダンスサークルに入ったのですが、「向いていない」と7月に放り出されまして(笑)。ほかに行きたいサークルもないし、どうしようかと。その時、友達から「会計士試験の勉強をしている」と聞いたんですね。それなら僕もと、予備校に通いだし、大学3年次に合格しました。
そんなきっかけですから、当時は特に「会計士になったらこれがやりたい」という気持ちもなかったんです。監査法人に就職するのも違うなと思っているうちに、予備校の講師に誘われました。これがファーストキャリアですね。ただし、講師の仕事は夜中心ですから、昼間は空いています。その時間を生かして同級生が始めたスタートアップをいくつか手伝ったりもしていました。そのうちの一社が、今僕がCFOを務めている株式会社DADAです。
合格から2年後の2017年には、太陽監査法人に非常勤で働き始めます。一度は避けた監査法人に入所したのは、スタートアップでの経験が影響しています。というのも、スタートアップのバックオフィスはしっちゃかめっちゃか。それを正すために“模範解答”が知りたかったんです。それなら監査法人で働くのが早いだろうと考えました。勤務中は、目をとおせる資料は全部チェックしながら知識を吸収しました。
一方、大学4年次には「全会連(全国学生会計連盟)」を立ち上げています。
山本たとえば、会計士を目指す大学生が100人いたら60人は途中で勉強からドロップアウトしてしまう。理由は一緒に勉強する仲間や相談相手がおらず孤独になってしまうこと。そこで受験生のコミュニティをつくろうとしたわけです。
活動内容は、例えば受験生と現役の会計士たちとの交流会「ミライロ」。あるいは合同リクルートイベント「アカリク」。アカリクでは受験生150人と協賛企業からの100人が集まります。「ユメオト」は現役の会計士を含む70人を連れて1泊2日の旅行に出かけるイベント。最近は箱根の山に出かけました。そうした非日常の場所に連れていくと皆、普段は話すことのない自分の夢や目標を自然に語り合い始めます。
僕が全会連で実現したいのは皆が夢を語れて挑戦できる社会です。「こうしたい」と思っても言いづらい世の中ですが、僕たちはそれを言葉にし、行動に移していく。毎年、大学2~3年次に合格した大学生15人ほどが集まり運営メンバーになってくれていますが、彼らに言っているのは「何でも好きなことをやっていい」。そのためならお金の提供も、人の紹介でもなんでもします。また、ミスの責任はすべて僕が取ります。メンバーの挑戦は全力で応援する。全会連はそういう場所です。
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一般社団法人 全会連 代表理事/株式会社DADA 執行役員CFO山本 健太郎
一般社団法人 全会連
私はもともと税理士受験生だったのですが、山本と会ったその日にいきなり「会計士の団体(全会連)で代表をやらないか」と誘われ、会計士試験に切り替えることにしました。理由は、明らかに山本が面白い人間だったからです(笑)。実際、突拍子もないことしか言わない。ユメオトの時も突然「大人の修学旅行がつくりたい、箱根の旅館を予約した」と言い出しました。でも山本の長所は、そうやって新しい種を撒き続けることにあります。それから人のポテンシャルを見抜くのが得意で「この人とこの人を会わせると面白い」とわかる。反面、手を動かすのは苦手。面白いことを考えるのは得意でも、いかんせん危なっかしいんですね。実行面は、僕を含めて周りが支えているところです。