The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
Kudan株式会社
取締役CFO中山 紘平
「自信もビジョンも持てず、将来を思い悩んだ時期もあります」と中山氏。だが、監査からコンサルティング、さらにはドイツ出向とチャレンジを繰り返すうち「点と点がつながって線になるみたいに」目指すべきキャリアが見えてきたという。たどり着いたのは自動運転やロボティクスに欠かせない人工知覚技術を主事業とするKudan株式会社のCFOというポジションだ。
「就活は、正直あまりやりたくないという思いがありました。大学時代の私はキャラクター的に生意気だったこともあり(笑)、うまくいくかわからなかったし、また、他人に自分の人生を決められるような感覚が好きではなかったのです」
では、実力があればわかりやすく評価される仕事とは? 思い当たった職業が公認会計士だった。大学2年次から資格試験の勉強を始め、4年次に合格。2007年に新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)に入所すると、金融部門の所属に。主にメガバンクの監査を手掛けた。
「監査業務から学ぶことは多かったと思います。大きな企業がどう動いているかわかりましたし、金融機関の融資のロジックもつかめた。ただ、正直監査業務があまり面白いとは思えなかった。できたものをチェックする仕事が多い感覚で、クライアントの役に立つようなアドバイザリー機能を十分に果たせていないと感じていました。明確なキャリアイメージもなく、ゆるゆる過ごしていた時期ですね。しっかりとキャリアを考えて監査法人から投資銀行や商社に転職していく同僚もいましたが、私はもっと力をつけて立派な人間になりたいという思いがあるだけで、具体的にどうすればいいのかわかりませんでした。その後、監査法人内のコンサルティング部署に異動したのも、具体的に行きたい会社や業界もないから『少なくとも現状よりはマシ』と思える選択をした結果です」
だが、その選択が奏功した。コンサル部署では顧客企業に半ば常駐し、組織再編・IFRS導入支援を行った。この経験を通じて中山氏は、プロジェクトマネジメントのスキルを身につけている。
「案件の初日に現場に行ったところ、先方の経理部長に『中山さんの説明はわかりやすいね』と褒めてもらえたんです。第一印象がよかったおかげもあって、プロジェクト全体をスムーズに進めることができました。監査とは異なり、スタートから目標達成に向け一歩一歩フェーズを進めていく感覚がありました。クロスボーダー案件でもありましたし、『仕事って結構エキサイティングで面白いかも』と思えたことは、私のキャリアにおいて収獲でした。本心から面白いと感じる仕事をしていると成果が出る、自分にはその力があると思えるようになりました」
この記事の続きを閲覧するには、ご登録 [無料] が必要です。
Kudan株式会社取締役CFO中山 紘平