グループを支える財務経理のプロ集団

「うま味」の発見を起点に１９０９年に創業し、アミノサイエンスⓇを軸に発展してきた味の素グループ。生活に身近な調味料や冷凍食品からヘルスケア領域へセグメントを広げ、現在は世界34の国・地域で事業を展開している。味の素フィナンシャル・ソリューションズ株式会社（ＡＦＳ）は、味の素株式会社の財務経理部門が独立するかたちで２０２０年に設立された。

味の素グループの財務経理基盤として本社のグローバル財務部と連携し、グループの財務経理部門を一体的に運営している。

現在は１２３名の従業員が在籍し、国内グループ８社の財務経理業務を受託。高品質な財務経理情報をグループに共有することで、企業価値の最大化を支えている。

「私たちは単なるシェアードサービスセンターにとどまらず、経営に資する事業パートナーとして伴走していきます」と語るのは、同社取締役で会計企画部長の有馬正志氏。経費精算などの定型業務は外部のパートナー企業に委ねる一方で、ＡＦＳは会計、資金や税務などの専門領域にリソースを集中する。これにより、グループ経営に資するバリューを創出するのが同社のミッションだ。

同社は２０３０年までに国内グループ26社の財務・経理業務を一括で受託し、業務を一気通貫で効率化していくロードマップを描く。グループ各社がそれぞれ異なるシステムやフローで業務を運用するなかで、それらを集約し、標準化する計画を推進している。

「今後５年で残り20社弱を受託するのは大きな挑戦です。このプロジェクトを進めるにあたり、まずは私たち自身が足元を固めなければ、グループ全体での業務整理や効率化が見えてきません。そのため、業務を根本から見直し、標準化や効率化を先導する作業を丁寧に進めています」

そこで注力するのが、ＤＸ人財の育成だ。年間20回の内部研修を実施。業務フロー見える化やＡＩツールの応用など、実務に直結するテーマで財務会計人財のＤＸスキルや知見を伸ばしていく。育成をリードするのはＤＸを専門とする外部講師ではなく、長く財務経理業務に従事してきたメンバーだ。現場の業務を熟知する社内講師が主体となり、実務に即したプログラムを提供している。

「会計知識やスキルとデジタルを融合させていくことは、これからの財務経理組織、そして個人にとっても不可欠です。メンバーが主体的に行う勉強会をとおして参加者のコミュニケーションも深まり、『この分野ならあの人に聞けばいい』といったように、社内の知見やナレッジが蓄積され、可視化されている手応えがあります」