海外売上が8割超。舞台はグローバル

油圧ショベルやホイールローダなど工事現場で使われる建設機械の開発、製造、販売、サービスを手がける日立建機株式会社。財務本部は約１００名の陣容で、経理を扱うグローバル経理統括部、財務担当のファイナンス統括部に分かれ、建機業界で世界３位グループに着ける同社の事業拡大を下支えする。

本社ではグローバル経理統括部が決算や税務を手がけ、開発・生産の中核となる土浦工場では開発生産経理部が原価計算などを担当し、開発部門や生産管理部門と密に連携している。「生産や販売、開発の拠点を世界各地に置いており、海外売上比率は８割以上にのぼります」と、同統括部長の吉田洋幸氏。

２０２２年３月からは米州（北米・中南米）での事業展開を本格化しており、巨大市場に新たなフロンティアが広がった。グローバル展開の加速に向け、財務本部への期待も大きい。世界の９リージョンを各地域の事業部長がリードするなか、財務本部から赴任する地域統括財務責任者が右腕として予算をモニタリングし、数字に目を光らせる。財務本部のメンバーも海外駐在のチャンスに恵まれている。吉田氏もオランダ駐在でキャリアを重ね、会計人としての幅を広げてきたという。

「若手やミドル層、財務本部で約３割を占める女性メンバーを含め、手を挙げれば海外駐在のチャンスが得られます。会計人として経験値を積んでいけるのはもちろん、異文化を知って幅広い視座を持ち、人間的に成長することもできるでしょう」

同社はグローバル連結経営の下で大胆な組織改革を行い、部門を横断するビジネスユニット制を導入した。開発・製造、販売後のアフターサービスまでバリューチェーンを一気通貫に俯瞰し、顧客のニーズにワンストップで応えるのが狙いだ。

財務本部は事業部門の後方支援にとどまらず、経営の前線でビジネスユニットに伴走。メンバーはビジネスユニットとコミュニケーションを取りながら現場の課題解決に寄与している。

「組織改革の軸になるのが、お客さまのニーズを最優先とする『ＣＩＦ（カスタマー・インタレスト・ファースト：顧客課題解決志向）』という考え方です。財務本部にとって、第一の顧客は営業部門や経営陣といえます。トップマネジメントに求められる数字を迅速に出し、時には経営企画的な機能を持って適切な提案を行います。顧客のニーズに寄り添う姿勢は私たちも変わりはありません」