監査法人の未来を担うエースたち
有限責任 あずさ監査法人
第1統括事業部 第1事業部/マネジャー岸 龍彦
公認会計士の活躍の場が広がっている昨今だが、試験合格者のほとんどが最初に就職するのは、昔も今も変わらず監査法人である。そんな監査法人の第一線で〝エース〟級の成果をあげている会計人を紹介する新連載。その第1回目に登場するのは、有限責任 あずさ監査法人の岸龍彦氏だ。
公認会計士を目指したのは、税理士だった父のすすめによる。「会計士ならつぶしが効きそうだし、キャリアも広がるだろう」。幸い、簿記の勉強は性に合った。複雑な企業の取り引きがわずか数本の仕訳で表現できるのを〝面白い〟と感じたという。
大学卒業後は有限責任 あずさ監査法人に入所。同法人を選んだ理由として岸氏は3つを挙げる。第一はグローバルの強みだ。あずさ監査法人は当時IFRS適用企業の監査シェア1位、SEC登録企業の監査シェア1位と、優良なクライアントポートフォリオを持っていた。第二に、就職活動で懇談した所員の雰囲気のよさ。人当たりがよく温和な印象に惹かれた。第三に、同監査法人が当時掲げていた「Our Values」だ。その筆頭に「自ら範を示して行動する(Welead by example)」とあった。「大好きな言葉です。ブランド刷新にともないOur Valuesの内容も変わってしまいましたが、今も心がけている姿勢です」
入所後は国際事業部に配属され、上場企業の会計監査や内部統制監査に従事した。5年目以降は業務範囲のグローバル割合が多くなり、海外監査人とのコミュニケーションも増えた。
「国によって個性があるなか、どれだけ上手にグローバルコーディネーションできるかで、監査の質が変わることを学びました。例えば、意図をくみ取ってくれる日本人を相手にする場合に60の情報を提供すれば十分な場合でも、外国人なら80の情報を用意しないと、正しく伝わらず、結果として想定する成果を得ることができません」
もともと「グローバルに活躍する会計士になりたい」と考えていた岸氏。グローバル業務が増えたことは、一つ希望に近づいたかたちだ。一方で、「入社当初は、監査の仕事は単調であり、3~5年で飽きてしまうのではないかと思っていました」とも明かしてくれた。
「でも、徐々に考えが変わりました。新人の頃、私は前任者と同じ監査手続きにこだわっていたのですが、先輩から『別のやり方のほうがベターではないか』と指摘され、目から鱗が落ちました。達成すべき目的は同じでも、アプローチの手法は様々あっていい。そこを考えるのが監査人の仕事なのだと知り、『監査って自由だ』と認識できたのです。加えて、その先ずっと同じ業務が続くわけではありません。職位がスタッフからシニア、マネジャー、パートナーと上がるにつれて役割が変わります。また、クライアントが手がけるビジネスも変化し、担当クライアント自体も変わります。さらに新たな会計・監査基準が適用され、監査もIT化が進んでいます。監査という大きな枠組みは同じでも、その中身はどんどん変わっていくわけです。若手時代の業務だけで、それを監査のすべてだと判断するのは、もったいない気がします」
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