事務所探訪
ビズアドバイザーズ株式会社/ビズアドバイザーズ税理士事務所
同社の設立には、上住敬一代表取締役の経歴が深くかかわっている。
「私は、大学卒業後、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)東京事務所国際税務部門に入所し、そこで最初に担当させていただいた案件が、日本企業がハリウッド映画に出資する映画ファンドの管理でした。ソフトな産業に対して複雑な国際税務の規定が国をまたいで絡んでいくという、非常に難しくもあるが面白い案件。これが、エンタテインメント業界に興味を持ったきっかけです。その後、エンタテインメントを知るなら“本場”に行け!という話をもらい、ロサンゼルス事務所で映画や音楽関連の税務マネジャーとして勉強させていただきました。米国に行ってわかったのは、ハリウッドには業界専門のエンタテインメントロイヤーやエンタテインメントアカウンタントと呼ばれる専門家がいて“ハリウッドインサイダー”として活躍していること。今は日本にはないが、今後ニーズが生まれるはずだ、とその時思ったのです」
PwCを退社し、香港であるレコード会社の上場にかかわった後、日本で唯一のエンタテインメントビジネス専門会計事務所を立ち上げたのは、2002年のことだ。
ところで、エンタテインメント業界特有のニーズに応える会計事務所の仕事とは、そもそもどういうものなのか?
「例えば、映画やアニメ製作では古くから共同製作出資者を募り、資金を調達し、共同でコンテンツを製作・販売します。この仕組みを製作委員会と呼んでいます。ところが、この仕組みは民法にも会社法にも税法にも、明確な規定がありません。具体的にどう組成し、運営していったらいいのか、また、会計上、税務上どのように処理したらよいかが、わかりづらいんですね。でも、エンタテインメント業界に特化してきた当社にはこれまでに培ったノウハウ、経験がありますから、的確なアドバイスができるのです」
多くの映画やアニメ、ゲームなどの、資金調達スキームの組成や管理、そのほか、M&A、クロスボーダー取引などのアドバイスを行う同社だが、「僕らは“ドリーマー”をサポートする“スキーマー”」だと上住氏は表現する。
「世の中には、『これをやりたい!』というプロデューサーや経営者がたくさんいます。とはいえ、資金調達やスキーム構築は容易ではないし、その先の会計や税法の知識があるわけでもない。我々はそこを支援するわけです」
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ビズアドバイザーズ株式会社/ビズアドバイザーズ税理士事務所上住 敬一
1992年、成蹊大学経済学部経済経営学科卒業後、プライスウォーターハウスクーパースに入所。東京事務所の国際税務部門にて米国映画ファンドの管理業務に従事。97年より、ロサンゼルス事務所に赴任。国際税務マネジャーとして勤務。2000年、香港の事業会社に移り、同社の香港GEM市場上場、M&Aに従事。02年、ビズアドバイザーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任。公認会計士。米国公認会計士。税理士。
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