The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社オルトプラス
取締役 CFO 財務・経理部部長竜石堂 潤一
ニッポンの最高財務責任者=CFOの人物像を紹介する本連載の15人目に登場願うのは、オルトプラスの竜石堂潤一氏だ。「普通の会社員として働いている自分が想像できない」と会計士資格を取得し、監査法人へ。8年勤めた後、IPO支援のやりがいに目覚め、マネージャー職を2カ月で辞して、ベンチャー企業に転職。そんな竜石堂氏のキャリアストーリーを聞いた。
竜石堂氏の父は、埼玉・大宮駅の東口で老舗の鮨店を営んでいる。「月末になると、母親が給料袋にお金を詰めている姿を見て育った」少年に、父は何度も二つのことを話したそうだ。
「昼夜逆転のきつい仕事だったからか、『俺の後は継ぐな』。それから『手に職をつけたほうが、人生楽しいんじゃないか』。場所柄、お客さんには会社員が多くて、酒が入ると上司の悪口ばかり(笑)。息子にそうはなってほしくない、と思ったのでしょう」
その“教え”が効いたのか、1996年に東京都立大学(現首都大学東京)経済学部の卒業を迎えても、一般企業に就職しようという気持ちは、まったくなかった。そして思い立ったのが、“食べていける資格の取得”である。
「公務員は、あまり面白そうじゃない、経済だから司法試験も外す。そうすると公認会計士か税理士か。で、ふと会計士試験のパンフを見たら、受かれば税理士の資格もついてくる、と書いてあるわけです(笑)。ならばこっちにしよう、という軽い気持ちでした」
大学4年の秋から勉強を開始、第二次試験には3年後の99年に合格する。
当時は、「希望すればどの監査法人にも入れるという、古きよき時代の最後の頃」。そして最初に面接に行った朝日監査法人(現有限責任あずさ監査法人)に、すんなり入所。「あれこれ並べて考えるより、出会ったインスピレーションで、いいと思ったら決めてしまうタイプ」だと自己分析するのだが、この“即決の性分”は後の人生でもいかんなく発揮されることになる。
さて、入所してみると、「監査という仕事は、思い描いていたイメージとはちょっと違う」という感想を持った。
「建前上は『独立した第三者として監査意見を述べる』のが会計士の立場ですが、実際には会社の考え、方針を汲みながら一緒に答えを出していく、というケースが多々あるわけです。これは面白い商売だな、と思いましたね」
入所後4〜5年にわたって担当したのは、主に総合商社だった。
「事業会社の経理の方の優秀さに驚かされました。大企業の経理部員は専門分野に特化しているから、知識の深さが半端じゃない。会計士でありながら、反対に多くのことを学ばせていただきました」
この記事の続きを閲覧するには、ご登録 [無料] が必要です。
株式会社オルトプラス取締役 CFO 財務・経理部部長竜石堂 潤一
vol.23の目次一覧 |
---|